かつてイギリスに存在していた自働車メーカー、ローバーは、1963年10月に旧態化が著しかったP4系「95/110」と置き換えるための新型高級セダン、P6系「2000」を発表しました。P4系やその後に登場したP5系が保守的な設計であったのに対し、数々の先進的なメカニズムが採用されたことが特徴でした。その後14年に渡り生産が続けられ、同社の代名詞的な存在となりました。
スタイリングを一新
モノコック構造が採用されたボディは4ドアセダンのみの設定で、スタイリングは古色蒼然としたP4から一転、直線基調のモダンかつスマートなフォルムに変貌を遂げました。ボディサイズは全長4,534mm×全幅1,683mm×全高1,391mmで、全長と全幅はP4と大差なかったものの、全高は200mm以上低められました。ホイールベースは2,625mmで、P4から200mm近く短縮されました。
車両重量は1,223kgで、P4系から300kg近い軽量化を果たしていました。サスペンション形式は、フロントがP4のウィッシュボーン/トーションバー式からトランバースリンク/コイル式に、リアがリーフ・リジッド式からド・ディオン・アクスル式へと一新されました。また、ブレーキはフロントのみならず、リアにもディスク式が採用されました。
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは当初新開発の2L直4SOHCが搭載されました。1基のSUキャブレターと9:1の圧縮比から発生するアウトプットは最高出力91ps/5,000rpm・最大トルク15.6kgm/2,750rpmで、トランスミッションは4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。
V8エンジン搭載車を追加
その後1966年に、モアパワーの声に応えるべくSUツインキャブレターの装備によりアウトプットを最高出力107ps/5,500rpm・最大トルク16.5kgm/3,750rpmに高めた「2000TC」が追加されました。それにともない、従来のシングルキャブレターモデルは「2000SC」と名付けられました。次いで1968年、P5系「3.5リットル」譲りの3.5L V8OHV SUツインキャブレター仕様エンジンを搭載する「3500」が追加されました。
アウトプットは最高出力148ps/5,000rpm・最大トルク27.2kgm/2,600rpmで、3速ATを介して最高速度185km/hの性能を発揮しました。追って、4速MTを組み合わせた「3500S」もリリースされました。続いて1970年にマイナーチェンジが実施され、シリーズⅡに移行しました。従来からの変更点は、フロントグリルやリアコンビネーションランプの意匠、2000T/3500のインパネのデザインなどでした。
次いで1973年、2000SC/TCに代わり、排気量を2.2Lに拡大した「2200SC/TC」がリリースされました。ツインキャブレター版である2200TCは、最高出力117ps/5,000rpm・最大トルク18.7kgm/3,000rpmのアウトプットを発生、最高速度174km/hの性能でした。そして1976年に後継モデルとなるSD1系「3500」が発売されたことにともない、翌1977年をもって生産終了となりました。