トヨタは2002年10月に、2000年に立ち上げた「WiLL」ブランドの第三弾となるパイクカー「サイファ」を発売しました。初代「ヴィッツ」などと共通のNBCプラットフォームを用い、ネットワーク社会と車の融合をイメージした「サイバーカプセル」をテーマに開発されました。最大の特徴は、トヨタの情報ネットワークサービス「G-BOOK」の車載端末を初めて搭載した事でした。
スタイリングは縦型4連ヘッドランプが特徴
ボディタイプは5ドアハッチバックで、縦型4連ヘッドランプ採用などによる個性的なスタイリングを備えていました。又、赤・青・黄・緑などの鮮やかな原色系ボディカラーが用意された事も特徴でした。ボディサイズはヴィッツより僅かに大きい全長3,695mm×全幅1,675mm×全高1,535~1,550mmで、ホイールベースは同一の2,370mm、車両重量は100kg程重い990~1,090kgでした。
駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意され、サスペンション形式はフロントが共にマクファーソンストラットで、リアはFF車がトーションビーム式、フルタイム4WD車がトレーリングリンク式でした。搭載エンジン及びグレードは、1.3L直4 の2NZ-FE型(最高出力87ps/最大トルク12.3kgm)搭載のFFグレード「1.3L 2WD」と、1.5L直4の 1NZ-FE型(最高出力105ps/最大トルク14.1kgm)搭載の4WDグレード「1.5L 4WD」の2タイプでした。
トランスミッションは、いずれもフロアシフトの4速トルコン式ATとの組み合わせでした。インテリアは、円形のセンタークラスターや扇形のセンターメーターを採用したユニークなインパネが特徴となる他、快適装備も重視され、花粉や粉塵を除去するクリーンエアフィルターや全面UVカットガラス、プライバシーバックドアガラスなどが採用されました。
トヨタ WiLL サイファのCM
様々な情報が入手出来るG-BOOK
最大のセリングポイントであるG-BOOKは、標準で備わるカーナビゲーションシステムに搭載されていました。その機能は、ネットワーク接続によりニュースや天気予報などの情報を入手し音声で読み上げたり、電子メールの送受信と共に受信メールを読み上げたり、音楽データをSDメモリーカードにダウンロードして再生する機能などを備えていました。
又、安全装備としてSRSデュアルエアバッグシステム、EBD付きABS、ブレーキアシスト、ロードリミッター&プリテンショナー付きシートベルトが標準装備されました。そして2003年8月に、ナビゲーションシステムの性能向上やG-BOOKに「マイリクエスト機能」の追加などのアップデートが実施されると同時に、ボディカラーに新色「DAIDAI(ダイダイ)」が追加されました。
そして2005年7月に生産終了となり、以降WiLLブランドのニューモデルが発売される事はありませんでした。