ランチアは1995年に、それまでの「テーマ」に代わる新たなプレミアムモデル「カッパ」を発売しました。カッパの車名は、1919~1925年に掛けて生産された初代モデル以来70年ぶりの復活となりました。テーマのスポーティ&ラグジュアリー路線に対し、専らラグジュアリー路線に特化した設計ポリシーが貫かれました。
エレガントなスタイリング
ボディタイプは当初4ドアセダンのみが用意され、スタイリングはテーマのボクシーなイメージから一転、曲線を多用したエレガントな雰囲気に変貌しました。又、空力特性も僅かながら改善され、Cd値は0.1ポイント低い0.31となっていました。ボディサイズは全長4,687mm×全幅1,826mm×全高1,462mmで、テーマから一回り拡大されました。
プラットフォームは基本的にテーマからのキャリオーバーであったものの、ホイールベースは40mm延長され2,700mmとなりました。車両重量は1,440~1,540kgで、テーマよりも100kg以上増加していました。サスペンション型式は4輪マクファーソンストラット式を踏襲し、駆動方式も引き続きFFのみが設定されました。
エンジンは、当初2L直5DOHC NA(最高出力147ps/最大トルク18.6kgm)、2L直4DOHCターボ(最高出力208ps/最大トルク30.4kgm)、2.4L直5DOHC(最高出力177ps/最大トルク23.5kgm)、3L V6DOHC(最高出力207ps/最大トルク27.5kgm)のガソリン4種類と、2.4L直4SOHCディーゼルターボ(最高出力126ps/最大トルク25.5kgm)が用意されました。
トランスミッションは、5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。又、ブレーキはテーマ同様、フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。一方インテリアは、シートなどの素材に標準のアルカンターラに加えボルトローナ・フラウ製のソフトレザーがオプションで用意されるなど、テーマから上等な仕様が受け継がれました。
ワゴンとクーペを追加
そして1996年のトリノ・ショーで、ピニンファリーナ・デザインによる5ドアステーションワゴンの「SW」と、ベルトーネ・デザインによる2ドアクーペがデビューしました。同社のクーペモデルとしては、1984年に生産終了となった「ガンマ・クーペ」以来12年ぶりのラインナップ復活で、運動性を高める為全長が110mm、ホイールベースが120mm短縮され、全高は37mm低く設定されました。
次いで翌1997年に、2Lターボ車のエンジンが直5DOHC(最高出力223ps/最大トルク31.5kgm)に置換されると共に、2L NA車のアウトプットが最高出力157ps/最大トルク19kgに向上しました。2代目カッパは、販売面ではテーマ程の成功を収める事が出来ないまま、2000年に後継モデル「テージス」に後を譲り生産終了となりました。日本国内には、左ハンドル仕様の3Lモデルが少数輸入されました。