フォルクスワーゲンは1991年に米国フォード・モーターと共同でミニバンの開発に着手し、1995年に「シャラン」と命名された市販モデルを発売しました。ボディタイプはオールヒンジ式ドア採用の5ドアで、モノフォルムのプロポーションを備えていました。同年フォードよりリリースされた「ギャラクシー」とは、ボディを共有する姉妹車種の関係にありました。
多彩なシートアレンジが特徴
初期型のボディサイズは全長4,620mm×全幅1,810mm×全高1,760mmで、ホイールベースは2,835mmでした。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがセミトレーリングアーム式で、前後共にスタビライザーが装着されました。駆動方式はFFで、エンジンは短いフロントフード内に搭載されました。
当初のエンジン・ラインナップは、2L直4(最高出力116ps/最大トルク17.3kgm)及び2.8L V6(最高出力174ps/最大トルク24kgm)のガソリンNAと、1.9L直4ディーゼルターボ(最高出力90ps/最大トルク20.4kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速/6速MTと4速/5速トルコン式ATが設定されました。
一方、室内は2-3-2シート配列の7人乗り仕様で、全席にセパレートシートが採用されました。又、フロントシートには回転機構が備わり、セカンドシートバックを前方に畳む事によりサードシートとの対面対座を可能としていました。更に、セカンド/サードシートは個別に着脱する事も可能でした。
日本にはトップグレードを導入
その後エンジン・ラインナップの拡充が図られ、翌1996年に1.9Lディーゼルターボのハイチューン版(最高出力110ps/最大トルク24kgm)が、更に1997年に1.8L直4ガソリンターボ(最高出力150ps/最大トルク21.4kgm)が追加されました。日本市場においては、1997年5月から2.8L V6エンジンを搭載するトップグレード「VR6」の輸入販売が開始されました。
右ハンドル/4速AT仕様のみの設定で、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式でした。又、安全装備としてSRSデュアルエアバッグシステムやABSなどが備わり、快適装備としては同社初のフルオートタイプとなるデュアルエアコンが標準装備されました。追って同年10月には、CDチェンジャーが追加された「VR6スペシャルパッケージ」に置き換えられました。
そして1999年12月を持って日本での販売は終了となるものの、欧州では販売を継続、翌2000年にはビッグマイナーチェンジが実施されました。この改良で内外装デザインが一新されると共に、2.8L V6エンジンが12V仕様から24V仕様に変更され、アウトプットが最高出力204ps/最大トルク27kgmに向上しました。
次いで2003年の2度目のマイナーチェンジでは、フロントグリルやリアコンビネーションランプの意匠が変更された他、SRSサイドエアバッグシステムが標準化されました。そして2010年にフルモデルチェンジが実施され2代目7N型に移行、日本市場にも翌2011年から導入が開始されました。