フォード・モーター(英国フォード)から1968年にリリースされた小型乗用車「エスコート」は、1990年9月に4年ぶり4度目のフルモデルチェンジを受け、マーク5に移行しました。マーク4がマーク3からのビッグマイナーチェンジ版であったのに対し、マーク5では全面な改良が施されました。従来からメカニズムが一部変更された他、装備の充実化が図られました。
4ドアセダンを追加
ボディタイプは、従来同様の3ドア/5ドアハッチバック、5ドアエステート(ステーションワゴン)、2ドアカブリオレ、および商用モデルの3ドアバンがラインナップされた他、新たに「オライオン」と名付けられた4ドアセダンがラインナップされました。一方で、3ドアエステートは廃止されました。スタイリングはキープコンセプトで、直線基調のフォルムが踏襲されました。
ボディサイズは全長4,036mm(ハッチバック)/4,268mm(オライオン/エステート)×全幅1,692mm×全高1,395mmで、マーク4から一回り拡大されました。また、ホイールベースは2,525mmで、125mm延長されました。サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラットを踏襲し、リアはトレーリングアーム独立懸架式からトーションビーム・リジッド式に変更されました。
駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは当初、1.3L直4OHV(最高出力61ps/最大トルク10.2kgm)、1.4L直4SOHC(最高出力75ps/最大トルク11.1kgm)、1.6L直4SOHC(最高出力90ps/最大トルク13.6kgm)のガソリン・キャブレター仕様と、1.8L直4SOHCディーゼル(最高出力61ps/最大トルク11.2kgm)がキャリオーバーされました。一方、ガソリン1.1L直4と1.6L直4電子燃料噴射仕様およびターボは廃止されました。
高性能モデルを追加
装備面では、新たにエアコン、パワーステアリング、パワーウィンドウなどがオプション設定されました。そして翌1991年、ガソリン1.6L電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力106ps/最大トルク14.1kgm)搭載の「XR3i」、ガソリン1.8L直4DOHCエンジン(最高出力106ps/最大トルク15.6kgm)搭載車、ガソリン2L直4DOHCエンジン(最高出力150ps/最大トルク19.4kgm)搭載の「RS2000」が追加されました。
さらに1992年には、ガソリン2L直4DOHCターボエンジン(最高出力227ps/最大トルク31kgm)を搭載するとともに、4輪ベンチレーテッド・ディスク式ブレーキを装備、最高速度220km/h・0-60mph加速6.2sの性能を誇る高性能モデル「RSコスワース」が追加されました。追って同年9月にフェイスリフトが実施され、フロントマスクの刷新とともにオライオンがエスコートに吸収・統合されました。
同時に、ガソリン1.6L直4DOHCエンジン(最高出力90ps/最大トルク13.7kgm)が追加された他、RS2000にフルタイム4WD仕様が設定されました。そして1996年にフルモデルチェンジ(実質的にはビッグマイナーチェンジ)が実施され、マーク6に移行しました。