フォード・モーター(英国フォード)は1968年、1959年にリリースした105E型「アングリア」の後継モデルとなる新型小型乗用車「エスコート」を発売しました。コンベンショナルなFR方式を採用するなど、全般的に手堅い設計が行われたモデルでした。また、追ってツインカムエンジンを搭載する高性能モデルも設定されました。
コークボトルラインを採用
ボディタイプは、当初は2ドアセダンのみの設定でした。スタイリングは、当時流行していたコークボトルラインを取り入れた3ボックス・ノッチバック型で、際立った個性はなかったものの、独特なデザインのフロントグリルがアクセントになっていました。ボディサイズは全長3,978mm×全幅1,570mm×全高1,346mmで、アングリアから全長・全幅が拡大され、全高は低められました。
ホイールベースは2,400mmで、アングリアから100mm程延長されました。エンジンは、英国向けにはまず1.1Lおよび1.3L直4OHVの「ケント・ユニット」が用意されました。スペックは1.1Lが最高出力56ps/最大トルク8.3kgm、1.3Lが最高出力66ps/最大トルク10.2kgmでした。また、輸出向けには0.9L直4OHV(最高出力45ps/最大トルク6.8kgm)もラインナップされました。
トランスミッションは、4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。サスペンション形式は、オーソドックスなフロント:マクファーソンストラット式/リア:リジッド・リーフ式が採用されました。ステアリング形式はラック&ピニオン式で、ブレーキは全車4輪ドラム式でした。その後、デビュー同年に4ドアセダン、3ドアステーションワゴン、3ドアパネルバンが追加されました。
高性能モデルを追加
さらに新グレードとして、1.3L直4OHVウェーバー・キャブレター仕様エンジン(最高出力83ps/最大トルク10.4kgm)を搭載する「1300スポーツ」(セダンのみ)と、1.6L直DOHCツインキャブレター仕様エンジン(最高出力112ps/最大トルク14.8kgm)を搭載する「1600ツインカム」(2ドアセダンのみ)が追加されました。ともに、フロント・ディスクブレーキや強化された足回りを備えていました。
その他、豪華仕様の「1300E」も追加されました。次いで1970年、1.3L直4OHVウェーバー・キャブレター仕様エンジン(最高出力76ps/最大トルク10.3kgm)を搭載する「1300GT」が追加された他、1600ツインカムに代わり、1.6L直4DOHCツインキャブレター仕様の「コスワースBDA」エンジン(最高出力115ps/最大トルク14.5kgm)を搭載する「RS1600」が設定されました。
次いで翌1973年には、2L直4SOHCウェーバー・キャブレター仕様エンジン(最高出力100ps/最大トルク14.9kgm)を搭載する「RS2000」が追加されました。そして1975年1月にフルモデルチェンジが実施され、マーク2に移行しました。