1974年にポルシェ初のターボエンジン搭載モデルとしてデビューしたスポーツカー「911ターボ」は、2013年に通算4度目の世代交代が行われ、現行991型となりました。プラットフォームが一新されたほか、後輪操舵システム「リアアクスルステア」をはじめ、さまざまな新機能が採用されました。同時に、動力性能や燃費性能の向上も果たしました。
ボディは2タイプ
プラットフォームは一新され、ボディはアルミニウムとスチールを組み合わせたインテリジェント構造が採用されました。ボディタイプは当初2ドアクーペのみの設定であったものの、ほどなくしてカブリオレが追加されました。エクステリア・デザインはキープコンセプトながら、新たに可変フロントリップスポイラー+可変リアウイングの「アクティブエアロダイナミクスシステム」が採用されました。
また、Cd値は先代997型と同一の0.31でした。ボディサイズは全長4,506mm×全幅1,880mm×全高1,296mmで、997型から全長・全幅が拡大された一方、全高はわずかに低められました。ホイールベースは80mm延長され、2,430mmとなりました。サスペンションは、フロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式の形式が踏襲された一方で、新たに可変スタビライザーの「PDCC」が採用されたことが特徴でした。
先代からエンジン性能が向上
ドライブトレインに目を移すと、「PTM」と呼ばれる新開発のフルタイム4WDシステムが採用されました。また、従来同様リアに搭載されるエンジンは、3.8L水平対向6気筒DOHCツインターボがキャリオーバーされました。アウトプットは標準版の「ターボ」が最高出力500ps/6,000-6,500rpm・最大トルク66.3kgm/1,950-5,000rpmで、997型から20ps/1kgmの向上を実現しました。
一方、高性能版の「ターボS」は最高出力560ps/6,500-6,750rpm・最大トルク76.5kgm/2,200-4,000rpmで、30ps/5.1kgの向上でした。また、燃費改善対策として、アイドリングストップ機構や軽負荷走行時に惰行運転を行うコースティング機能が採用されました。トランスミッションはついにMTが廃止され、デュアルクラッチ式ATの7速PDKに一本化されました。
クーペのパフォーマンスは、ターボが最高速度314km/h・0-100km/h加速3.4s、ターボSが最高速度318km/h・0-100km/h加速3.1sでした。また、ブレーキは前後とも大径化を図ったベンチレーテッド・ディスク式を採用、ホイール&タイヤも従来から大径化され、フロントが9J×20インチホイール+245/35ZR20タイヤ、リアが11.5J×20インチホイール+305/30ZR20タイヤの組み合わせとなりました。
M/Cでさらに性能アップ
その後、2015年12月にマイナーチェンジが発表されました。エンジンのアウトプット向上が図られ、ターボが最高出力540ps/6,400rpm・最大トルク67.3kgm/1,950-5,000rpm、ターボSが最高出力580ps/6,400rpm・最大トルク71.4kgm/2,100-4,250rpmとなったほか、新たにスロットルレスポンスを向上させる「ダイナミックブースト機能」が採用されました。
日本市場には、まず2013年5月にクーペのターボ/ターボSが上陸し、同年9月にターボカブリオレ/ターボカブリオレSが追加されました。そして2015年12月にマイナーチェンジ版の受注が開始されました。