ドイツ・フォードの戦後初設計モデルとして1952年に誕生した大衆車「タウヌス12M・15M」は、1962年に3年ぶり2度目のフルモデルチェンジが実施され、3代目P4系に移行しました。2代目モデルが初代からのビッグマイナーチェンジ版であったのに対し、このモデルチェンジでは全面的な改良が行われ、それまでからメカニズムが一新されました。
ボディ・バリエーションを拡大
ボディタイプは、従来に引き続き設定された2ドアセダン、3ドアステーションワゴン「コンビ」、2ドアカブリオレに、4ドアセダンと傾斜したCピラーを持つ2ドアクーペ、そして商用モデルの3ドアデリバリーバンを加えた全6タイプのラインナップとなりました。スタイリングは、当時の流行を取り入れた流麗かつモダンなフォルムに変貌しました。
セダンのボディサイズは全長4,248mm×全幅1,594mm×全高1,458mmで、先代との比較では全長が170mm程延長された一方、全高は約100mm低められました。ホイールベースは2,527mmで、先代から37mm延長されました。駆動方式はそれまでのコンベンショナルなFRから、当時としては先進的だったFFに変更されました。
エンジンは3種類
エンジンも全面的にリニューアルされ、それまでの直4OHVに代わりバランサーシャフト付きのV4 OHVが採用されました。ラインナップは1.2L(最高出力40ps/4,500rpm・最大トルク8.0kgm/2,400rpm)と、1.5L標準仕様(最高出力50ps/4,500rpm・最大トルク12.0kgm/2,400rpm)およびハイチューン仕様(最高出力55ps/4,500rpm・最大トルク12.0kgm/2,300rpm)の3種類が用意されました。
トランスミッションは従来の3速MTに代わり、フルシンクロの4速コラム式MTが採用されました。各モデルの最高速度は、それぞれ123km/h、130km/h、139km/hとなっていました。サスペンション形式は、フロントがウィッシュボーン/リーフ式、リアがリジッド・アクスル/リーフ式で、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式が採用されました。
また、ブレーキは当初は先代同様の4輪ドラム式でした。その他、電装系が6Vから12Vに変更された事もP4型の特徴でした。グレード体系は、1.2Lエンジン搭載の「12M」、1.5L標準仕様エンジン搭載の「12M 1.5L」、同ハイチューン仕様エンジン搭載の「12M TS」の3タイプが基本でした。その後、1964年に12M TSのエンジンに圧縮比アップなどの改良が施され、最高出力が65ps/4,500rpmに向上しました。
また、この年の末に、フロントブレーキがドラム式からディスク式に変更されました。その後は大きな仕様変更やラインナップの追加などは行われず、1966年のフルモデルチェンジにより通算4代目となるP6型にバトンタッチされました。