BMWは1961年9月のフランクフルト・ショーにおいて、「イノエ・クラッセ」と名付けられたプロジェクトの第一弾となるミディアムセダン「1500」を発表しました。大衆車「700」と高級車「2600/3200シリーズ」の間を埋めるこのモデルは、時代の水準を大きく超えた総合性能によりベストセラーとなり、今日における同社の地位を確立させた記念碑的存在となりました。
デザインはミケロッティが担当
700同様にモノコック構造を持つボディのタイプは、当初は4ドアセダンのみの設定でした。エクステリア・デザインは700に引き続いてカロッツェリア・ミケロッティの手に委ねられ、そのスタイリングは直線基調のスクエアかつプレーンなフォルムと、逆スラントのフロントマスクが独自の個性となっていました。
ボディサイズは全長4,500mm×全幅1,710mm×全高1,450mmで、2600/3200シリーズよりも一回り小さく、ホイールベースはそれより300mm近く短い2,550mmに設定されていました。車両重量は1,060kgで、2600シリーズとの比較では400kgほど軽く抑えられていました。駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは新開発の1.5L直4SOHC(最高出力80hp/最大トルク12kgm)が採用されました。
フロント・ディスクブレーキを採用
組み合わせられるトランスミッションは4速MTで、最高速度は当時のこのクラスとしては高性能といえる148km/hでした。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがセミトレーリングアーム式で、ステアリング形式はウォーム&ローラー式が採用されました。また、ブレーキはフロントにロッキード製のディスク式が装着されました。
その後1963年9月に、1.8L直4SOHCエンジン(最高出力90hp/最大トルク14.7kgm)を搭載する「1800」が追加されました。次いで翌1964年、1500に代わり1.6L直4SOHCエンジン(最高出力83hp/最大トルク13.3kgm)を搭載する「1600」が設定されるとともに、1.8Lチューンド・エンジン(最高出力110hp/最大トルク15.1kgm)を搭載する高性能版「1800TI」が追加されました。
ハードトップとカブリオレを追加
続いて1965年、高級クーペ「3200CS」の後継モデルとして、2ドアハードトップボディに2L直4SOHCエンジン(最高出力100hp/120hp)を搭載する「2000C/2000CS」がリリースされました。追って翌1966年1月には、2000C/2000CSと同じエンジンを搭載する4ドアセダン「2000/2000TI」が追加され、1600および1800TIはカタログ落ちしました。
さらにこの年に開催されたジュネーブ・ショーにおいて、ホイールベースを50mm短縮したシャシーに2ドアセダンボディを架装し、1.6Lエンジンを搭載した「1600-2」が発表されました。さらに翌1967年9月には、コーチビルダーのバウア社がボディワークを担当した2ドアコンバーチブル「1600カブリオレ」がラインナップに加わりました。
同時に、1.6Lエンジンの最高出力を105hpまで高め、5速MTと組み合わせて搭載する2ドアセダンの高性能版「1600TI」が追加されました。次いで1969年、2L直4SOHC燃料噴射仕様エンジン(最高出力130hp)を搭載する「2000tii」が追加されました。さらに1971年には、3ドアステーションワゴンの「ツーリング」シリーズが追加されました。
そして1972年をもって全車生産終了となったものの、1968年から設定された2ドアの発展型「02シリーズ」の生産は継続されました。