かつてイギリスに存在していた自働車メーカー、ブリティッシュ・レイランドは、1986年に「SD1(3500)」に代わる新型高級乗用車「800」を発売しました。当時業務提携を結んでいた本田技研工業との共同開発により誕生したモデルで、プラットフォームや基本メカニズムは前年にリリースされた「ホンダ・レジェンド」と共通でした。
独自のエクステリアを採用
ボディタイプはSD1同様のファストバックの5ドアハッチバックに加え、ノッチバックの4ドアセダンがラインナップされました。エクステリア・デザインはレジェンドとは異なっており、イギリス車らしいシックな雰囲気にまとめられていました。同時に、Cd値0.30の優れた空力特性を実現したことも特徴でした。
ボディ・ディメンションは全長4,690mm×全幅1,730mm×全高1,397mm、ホイールベース2,758mmで、全高を除きSD1から若干縮小されていました。駆動方式はそれまでのFRからFFに変更され、エンジンは当初ローバー製の2L直4DOHC(最高出力140ps/最大トルク18.2kgm)とホンダ製の2.5L V6SOHC(最高出力172ps/最大トルク22.1kgm)の2種類が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATでした。サスペンション形式はSD1から一新され、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマクファーソンストラット式による4輪独立懸架が採用されました。ブレーキは、フロントはベンチレーテッド・ディスク式が踏襲され、リアはドラム式からソリッド・ディスク式にアップグレードされました。
M/Cでエンジンを刷新
その後1988年に最初のマイナーチェンジが実施され、2.5Lエンジンが2.7Lに拡大されアウトプットが最高出力179ps/最大トルク23.3kgmに向上しました。次いで1991年に2度目のマイナーチェンジが実施され、やや丸みを帯びたボディラインに変貌するとともに、フロントグリルの意匠が一新されました。同時に2Lエンジンが刷新され、アウトプットが最高出力180ps/最大トルク21.9kgmに向上しました。
さらに、安全装備面ではABSに加え、SRS運転席エアバッグシステムが標準化されました。次いで1992年には、2ドアクーペが追加されました。続いて1996年に3度目のマイナーチェンジが実施され、エクステリアが小変更されるとともに、SRS助手席エアバッグシステムの標準化などの仕様向上が図られました。
同時に、ホンダ製2.7Lエンジンに代わり、ローバー製2.5L V6DOHCエンジン(最高出力175ps/最大トルク24.5kgm)が設定されました。そして1998年、後継モデル「75」にバトンを渡し生産終了となりました。日本市場においては、1987年にまずホンダ製2.5Lエンジン+4速AT搭載の「スターリング」が初上陸を果たしました。
次いで1989年、2.7Lエンジン搭載のマイナーチェンジ版に切り替えられるとともに、グレード体系が「ビテス」「827スターリング」の2タイプとなりました。続いて1993年には、フロントグリルを一新したマイナーチェンジ版の導入が開始されました。同時に、グレード体系が2Lエンジン搭載のセダン「820SLi」と、2.7Lエンジン搭載のセダン「827SLi」および「827クーペ」の3タイプに変更されました。
次いで1996年に最終マイナーチェンジ版の導入が開始されるとともに、グレード体系が2.5Lエンジン搭載のセダン「825Si」「825SLi」および「825クーペ」となりました。