ダイムラー・クライスラー(現:ダイムラー)100%出資の子会社「smart」は、2007年に主力モデル「フォーツー」に10年ぶりにして初のフルモデルチェンジを実施し、2代目W451型に移行させました。アメリカ市場への参入を前提に開発され、現地の安全基準に対応するためボディサイズが拡大されるとともに、パワートレインも一新されました。
ガソリンエンジンに三菱製を採用
「トリディオンセーフティセル」と呼ばれる高剛性フレームを踏襲するボディは、先代同様2シーター仕様で、ガラスルーフが備わる3ドアクーペと電動ソフトトップが備わる2ドア「カブリオ」がラインナップされました。スタイリングはワンモーションフォルムを踏襲しながらも、フロントオーバーハングが若干延長されました。
ボディサイズは全長2,695mm×全幅1,559mm×全高1,542mmで、全高をのぞき一回り拡大されました。また、ホイールベースも55mm延長され、1,867mmとなりました。駆動方式はRRを踏襲し、リアに搭載されるエンジンは、ガソリンは従来のダイムラー製0.7L直3SOHCターボから三菱製1L直3DOHC NAおよびターボに変更されました。
NAはチューニングの異なる2種類が用意され、スペックは最高出力61ps/最大トルク9.1kgmおよび最高出力71ps/最大トルク9.4kgmとなっていました。一方、ターボは最高出力84ps/最大トルク12.3kgmのスペックでした。また、先代同様ディーゼルも用意され、こちらはダイムラー製0.8L直3SOHCターボの改良型(最高出力44.6ps/最大トルク11.2kgm)が採用されました。
トランスミションは、「ソフタッチ」と呼ばれるシングルクラッチ式AMT(2ペダルMT)が踏襲されたものの、ギア数が6段から5段に減らされたほか、変速スピードの向上が図られました。サスペンション形式は、フロント:ストラット式/リア:ド・ディオン式が踏襲されました。また、ステアリング形式はラック&ピニオン式を踏襲しながら、パワーアシスト付きとなりました。
ブラバス仕様やEVモデルを追加
最小回転半径は4.2mで、先代から0.1m大きくなりました。また、安全装備面では横滑り防止装置「ESP」やブレーキアシスト付ABSのほか、坂道発進をサポートする「ヒルスタートアシスト」が標準装備されました。その後、専用の内外装や足回りが備わるボディに、1Lガソリンターボエンジンのハイチューン版(最高出力98ps/最大トルク14.3kgm)を搭載する「BRABUS(ブラバス)」が追加されました。
さらに翌2008年には、1LガソリンNAエンジン搭載車に「マイクロハイブリッドドライブ」と呼ばれるアイドリングストップ機構採用モデルが設定されました。次いで2009年、最高出力75ps/最大トルク13.3kgmの電気モーターを搭載し、一充電あたり140kmの走行距離を持つEVモデル「エレクトリックドライブ」がリリースされました。
そして2012年のフェイスリフトを経て2014年にフルモデルチェンジが実施され、現行A453/C453型に移行しました。
スマート フォーツー BRABUS (2011)の口コミ評価/新車購入インプレッション
少し前まで、スマートフォーツークーペBRABUSに乗っていました。2011年式の2代目451型で、ヤナセにて新車で購入した物です。価格は結構高く、総額で270万円程しました。このスマートを購入する前、経済的理由などから車(451型スマートのカブリオ)を手放し、当面車は所有しないつもりでいた。
スマートBRABUSはいつも即完売
そんなある日、付き合いのあったヤナセのセールスマンがスマートBRABUSのパンフレットを持参して家にやって来て、「良かったら検討してください。」と言って帰っていきました。予てより、スマートBRABUSには興味があったのですが、何しろ毎回限定50台~200台の限定販売なので、公式リリースされた時点で既に完売状態となっているのが常で、手に入れる事が困難でした。
ところが、折しも東日本大震災の影響による車の販売不振により、今回はクーペに限って在庫が残っているとの話でした。本当はカブリオが欲しかったのですが、こちらは残念ながら完売との事でした。
しかし、喉から手が出る程欲しかったBRABUS仕様のスマートでしたので、そんな贅沢を言っている場合ではありません。当面車は所有しないという決意はあっさりと崩れ、翌日にはヤナセに電話を入れて、注文書を持って来て貰いました。殆ど衝動買いでしたが、根が車好きですからこれも仕方ない事です。
NAのカブリオとは格段の違い
そして、約2週間程で納車されると、早速ドライブに出掛けました。限定販売車の為、試乗車も用意されていないので、初めての運転です。まず、さすがターボ付きだけあり、加速性能はリッターカーとは思えない程でした。それまで乗っていた、NAのカブリオとは格段の違いです。
そして、AMTの変速スピードも謳い文句通り速くなっており、変速時のトルク抜けが少なくなっていたのも、好印象でした。何よりも、エアロパーツや大径ホイール&タイヤで武装したエクステリアがムード満点で、所有する喜びが感じられました。
乗り心地は低下したものの
ノーマルのスマートと比べ良い事ばかりではなく、ピッチングが激しくなり乗り心地は低下し、舗装の荒れた道路でのワンダリングも気になりました。しかし、パフォーマンスの高さの引換と考えれば、それも大きな欠点とは感じませんでした。又、クーペなので当然ながらカブリオのように屋根は開きませんが、グラスルーフが付いている為、サンシェードを開ければ開放感は十分ありました。
そして、燃費も意外と悪くはなく、平均15km/L程走りました。NAのスマートが18km/L程でしたから、性能差を考慮すれば十分納得が行く数値です。総合的に見て、元来がシティ・コミューターがベースなので、高速道路やワインディングロードが得意とは言えませんが、「シティ・エクスプレス」としては申し分ない車でした。