スイスの時計メーカーであるスウォッチは、ダイムラー・ベンツ(現:ダイムラー)との協業により1994年に合弁会社「MCC」を設立、1997年にヨーロッパにおいて初の市販モデルとなるマイクロカー「スマートシティークーペ」を発売しました。環境面に最大の配慮を行ったコンパクトなボディと小排気量エンジンの採用が特徴で、のちにさまざまなバリエーションモデルが登場しました。
高剛性フレーム+RR方式を採用
「トリディオンセーフティセル」と呼ばれる高剛性フレームを持つボディ3ドア・2シーター仕様で、当初はガラスルーフが備わるクーペのみの設定でした。スタイリングは、フロントオーバーハングがほとんどないワンモーション・フォルムが特徴で、さらに独特な意匠のヘッドランプやフロントグリルと相まってファニーな雰囲気を醸していました。
ボディサイズは全長2,500mm×全幅1,515mm×全高1,549mmと極めてコンパクトで、ホイールベースも僅か1,812mmに過ぎませんでした。駆動方式は、短い全長と十分なクラッシャブルゾーンを両立させるためRRが採用されました。リアに搭載されるエンジンは、当初2種類の0.6L直3SOHCガソリンターボ(最高出力45ps/最大トルク7.1kgmおよび最高出力55ps/最大トルク8.2kgm)が設定されました。
トランスミションは、「ソフタッチ」と呼ばれるシングルクラッチ式6速AMT(2ペダルMT)のみの設定でした。サスペンション形式はフロントにストラット式、リアにド・ディオン式が採用されました。ステアリング形式はパワーアシストなしのラック&ピニオン式で、最小回転半径4.1mの小回り性能を備えていました。
オープンモデルやディーゼル車などを追加
そして翌1999年、電動ソフトトップが備わるオープンモデル「カブリオ」がラインナップに加えられるとともに、0.8L直3SOHCディーゼルターボエンジン(最高出力41ps/最大トルク10.2kgm)搭載車が追加されました。次いで2002年にガソリンターボエンジンの排気量が0.7Lに拡大され、アウトプットが最高出力50ps/最大トルク8.2kgmおよび最高出力61ps/最大トルク9.7kgmに向上しました。
さらに、同エンジンのアウトプットを最高出力75ps/最大トルク11.2kgmに高めて搭載し、専用の内外装や足回りなどが備わる高性能版「BRABUS(ブラバス)」が設定されました。その後2004年に、車名が「フォーツークーペ/カブリオ」に変更されました。そして2007年にフルモデルチェンジが実施され、2代目W451型に移行しました。
日本市場においては2000年12月、まず発売記念限定モデルとなる55ps版0.6Lガソリンターボエンジン搭載のクーペ「デビューパッケージ」の正規輸入が開始されました。その後2001年4月にクーペがカタログモデル化され、翌5月にカブリオが、さらに同年10月にはリアフェンダーとリアタイヤの変更により全幅を1,470mmに縮小した軽自動車規格モデル「スマートK」が追加されました。
次いで2003年8月に0.7L版に切り替えられるとともに、クーペ/カブリオにBRABUSが追加されました。