アウディAGは1996年、1994年にリリースしたフラッグシップセダン「A8」のハイパフォーマンス版となる「S8」を発売しました。A8譲りのアルミスペースフレーム「アウディ・スペース・フレーム」に強力なエンジンを搭載、高い走行性能を誇るモデルに仕立てられていました。日本市場への導入時期は遅く、販売期間は短期間に留まりました。
アルミ製サスペンションを採用
ボディタイプはA8同様4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはこれ見よがしなモディファイは行われず、A8譲りのフォーマルな雰囲気が踏襲されました。空力特性もA8同様良好で、Cd値0.29を実現していました。ボディ・ディメンションは全長5,034mm×全幅1,880mm×全高1,420mm、ホイールベース2,882mmで、A8から全高が若干ローダウンされていました。
サスペンションは専用チューニングが施されたオールアルミ製で、形式はフロントが4リンク式、リアがトラペゾイダル式でした。駆動方式はA8と異なりFFは設定されず、フルタイム4WDシステム「クワトロ」のみの設定でした。エンジンは気筒あたり5バルブ、可変カムシャフトコントロール機構採用の4.2L V8DOHC NA(最高出力340ps/6,600rpm・最大トルク41.8kgm/3,500rpm)が搭載されました。
M/Cでアウトプットが向上
トランスミッションは当初6速MTのみの設定で、パフォーマンスは最高速度が250km/h、0-100km/h加速タイムが5.5sでした。ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスク式が装備され、ホイール&タイヤは8J×18インチホイールと245/45R18タイヤの組み合わせが採用されました。その後1999年にマイナーチェンジが実施され、エンジンのアウトプットが最高出力360ps/7,000rpm・最大トルク43.9kgm/3,400rpmに向上しました。
同時に、5速トルコン式AT「ティプトロニック」仕様が追加されました。そして2002年、A8のフルモデルチェンジにともない生産を終了、そらから4年後の2006年に2代目A8をベースとしたD3系S8がリリースされました。日本市場に初上陸を果たしたのは、マイナーチェンジ版が登場してから2年ほどが経過した2001年1月のことでした。
グレードはモノグレード設定で、左ハンドル/ティプトロニック仕様のみが導入されました。安全装備面では、SRSデュアル&サイド&ヘッドレベルエアバッグシステムやテンショニングシステム付シートベルト、EBD付ABS、ESP(車両安定化制御装置)などが採用されました。また、豪華装備としてはレザー&アルカンターラシートや運転席パワーシートなどが標準装備されました。
さらに快適装備として、フロント&リアシートヒーターやエアクオリティ・センサーなども備わっていました。販売は、2003年9月をもって終了となりました。