ゼネラルモーターズ(GM)は1989年、「キャデラック」ブランドのアッパーミドルセダン「デヴィル(Deville)」に通算7度目のフルモデルチェンジを実施し、8代目モデルに移行させました。日本においては、フランス語で「街」を意味するDevilleが「悪魔」を意味するDevilと同じ表記・発音になってしまうため、7代目デヴィルが「コンコース」の車名で販売されたのに続き、本国とは異なる「ドゥビル」の名が与えられました。
プラットフォームを一新
プラットフォームは一新され、新世代の「GM・Gプラットフォーム」が採用されました。ボディタイプはそれまでと同様4ドアセダンのみの設定で、エクステリア・デザインは角張ったスクエアなものから丸みを帯びたフォルムに変貌するとともに、マルチリフレクター・ヘッドランプの採用などによりフロントマスクのイメージも一新されました。
ボディサイズは全長5,258mm×全幅1,890mm×全高1,440mmで、全高をのぞき若干縮小された一方、ホイールベースは若干延長され2,929mmとなりました。サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラット式を踏襲し、リアはそれまでのダブルウィッシュボーン式に代わりマルチリンク式が採用されました。
エンジンは2タイプ
駆動方式はFFが踏襲され、エンジンも4.6L V8DOHC「ノーススター」がキャリオーバーされました。グレードはベースグレードと中級グレード「DHS」、そして上級グレード「DTS」の3タイプが用意され、エンジンのアウトプットはベースグレード/DHS用が最高出力279ps/最大トルク41.5kgm、DTS用が最高出力304ps/最大トルク40.8kgmとなっていました。
組み合わせられるトランスミッションはともに4速トルコン式ATで、最高速度はそれぞれ180km/h、209km/hでした。また、ブレーキは全車にフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が装備されました。安全装備面では、SRSデュアル&サイドエアバッグシステムやABS、トラクションコントロール、横滑り防止装置「スタビリトラック」などが装備されました。
量販モデル初の「ナイトビジョン」を設定
一方室内装備は、夜間に赤外線センサーが感知した映像をヘッドアップ・ディスプレイに映し出す、量販モデル世界初の「ナイトビジョン」が設定されました。その後、小規模な仕様変更やオプション設定の変更などを経て、2005年に後継モデル「DTS」にバトンタッチされました。日本市場においては、ヤナセの手により1999年11月に導入が開始されました。
グレードはDHSのみで、左ハンドル仕様のみが用意されました。その後、2000年4月にナイトビジョン装着車が追加され、追って12月にはエンジンがレギュラーガソリン対応となりました。