ゼネラルモーターズ(GM)は2004年、キャデラック・ブランドより「セビル」の後を継ぐ新型ミディアムセダン「STS」を発売しました。同社が推し進めていたブランド改革「ルネッサンス」に基づいたモデルで、「アート&サイエンス」をテーマとしたエッジの効いたシャープなエクステリア・デザインが特徴でした。のちにマイナーチェンジが実施され、第2世代に移行しました。
フルタイム4WD車を設定
プラットフォームは、同じキャデラック・ブランドの「CTS」や「SRX」と共通の「GMシグマプラットフォーム」が採用され、ボディタイプは4ドアセダンのみが設定されました。ボディ・ディメンションは全長4,986mm×全幅1,844mm×全高1,463mm、ホイールベース2,957mmで、セビルから全長と全幅が縮小された一方、全高は高められ、ホイールベースも100mm延長されました。
駆動方式はセビルのFFから、FRおよびキャデラックのセダン初設定となるフルタイム4WDに変更されました。エンジンは当初、新開発の3.6L V6DOHC NA(最高出力259ps/最大トルク34.9kgm)と、従来型を改良した4.6L V8DOHC NA(最高出力324ps/最大トルク43.5kgm)の2種類が用意されました。トランスミッションは、マニュアル感覚のシフトが可能な「DSC」が備わる5速トルコン式ATが組み合わせられました。
サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、電子制御可変ダンピングシステムの「マグネティック・ライド・コントロール」が装備されました。また、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。装備面では、8インチタッチスクリーンが備わるインフォテインメントシステム「キャデラックビジョン」の採用がトピックでした。
高性能版を追加
そして翌2005年に、4.4L V8DOHCスーパーチャージド・エンジン(最高出力446ps/最大トルク59.5kgm)+6速トルコン式ATを搭載し、0-60mph加速5s未満のパフォーマンスを持つ高性能版「STS-V」が追加されました。次いで2007年にマイナーチェンジが実施され、弟分「CTS」譲りのエクステリア・デザインへとイメージチェンジが図られました。
同時に、3.6L V6エンジンが新世代の直噴ユニット(最高出力306ps/最大トルク37.6kgm)に置換されたほか、ATが全車6速化されました。また、装備面ではチャイム音と警告灯により車線逸脱を知らせる「レーン・ディパーチャー・ウォーニング・システム」が採用されました。その後、アメリカ本国では2011年をもってCTSに統合される形で生産終了となりました。一方、中国向けモデルの生産は2013年まで継続されました。
日本市場においては、2014年11月に3.6L/4.6L/4.6L 4WDの3タイプが初上陸を果たしました。その後2006年1月にSTS-Vが追加され、2007年11月にはマイナーチェンジ版に切り替えられるとともに4.6L 4WDがカタログ落ちしました。次いで2010年2月、グレードが3.6Lエンジン搭載のベースグレードに一本化されました。