ゼネラルモーターズ(GM)は2012年、キャデラック・ブランドより前年に生産終了となった「DTS」に代わる新たなフラッグシップ・セダン「XTS」を発売しました。スマートフォン感覚でエアコンやオーディオなどの操作を行える新インフォテインメントシステム「CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)」の採用がトピックとなるほか、同社最新の安全運転支援システムが用意されました。
エンジンは3種類
「シボレー・インパラ」や「ビュイック・ラクロス」と共通の「イプシロンⅡプラットフォーム」に架装されるボディは4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはシャープかつ彫刻的なフォルムを特徴としていました。ボディ・ディメンションは全長5,131mm×全幅1,852mm×全高1,501mm、ホイールベース2,837mmで、全高をのぞきDTSからダウンサイジングされました。
駆動方式はFFのほか、フルタイム4WDも設定されました。エンジンは、4.6L V6直噴のNA仕様(最高出力308ps/最大トルク36.5kgm)とターボ仕様(最高出力416ps/最大トルク51kgm)のほか、中国市場専用に2L直4直噴ターボ(最高出力276ps/最大トルク36kgm)が用意されました。これらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、6速トルコン式ATのみの設定でした。
サスペンション形式は、フロントにハイパーストラット式、リアに独立Hアーム/エアスプリグ式が採用されました。ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式で、タイヤは前後ともP245/40R20サイズが装着されました。グレード体系は、ベースグレードをボトムレンジとして「ラグジュアリー」「プレミアム」「プラチナム」の4タイプがラインナップされました。
充実した装備
装備面では、SRS7エアバッグシステム、レザーシート&前席8ウェイ・パワーシート、デュアルゾーン・エアコン、アダプティブ・クルーズ・コントロール、パーキングアシスタンスなどが全車に標準で備わりました。そのほか派生モデルとして、XTSのデビューと同じ2012年にロングホイールベース版の「キャデラック・XTSリムジン」がリリースされました。
日本市場においては、2013年1月に最上級グレードのプラチナムが初上陸を果たしました。ドライブトレインはFF+4.6L V6 NAエンジンで、左ハンドル仕様のみの設定でした。装備面では、「車線逸脱警告機能」「前方衝突事前警告機能」「サイドブラインドゾーンアラート」といった予防安全システムのほか、衝突の危険を察知するとシートの振動により警告を与える「セーフティアラートドライバーシート」が採用されました。
しかし、右ハンドル仕様の設定がなかったことなどから販売は振るわず、2015年7月をもってカタログ落ちしました。