ポルシェAGは2002年、同社初のクロスオーバーSUVとなる「カイエン(955型)」を発売しました。「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」とプラットフォームを共有しながらも、独自の個性的なエクステリア・デザインや同社オリジナルのエンジンが採用されました。パフォーマンスも高く、オンロード性能とオフロード性能を高い次元で両立したモデルとなっていました。
V8エンジンを搭載
ボディタイプは5ドアで、スタイリングはクロスオーバーSUVながらひと目でポルシェのモデルと分かる意匠が備わっていました。空力特性の指標となるCd値は、0.39でした。ボディ・ディメンションは全長4,782~4,786mm×全幅1,928mm×全高1,699mm、ホイールベース2,855mmでした。駆動方式は全車フルタイム4WDで、「PTM」と呼ばれるトラクションコントロールが標準装備されました。
エンジンは同社得意の水平対向6気筒ではなく、当初4.5L V型8気筒が用意されました。初期のグレード体系は「カイエンS」と「カイエンターボ」の2タイプで、前者にはNA仕様(最高出力340ps/最大トルク42.8kgm)が、後者にはターボ仕様(最高出力450ps/最大トルク63.2kgm)が搭載されました。組み合わせられるトランスミッションは、6速MTまたは6速トルコン式AT「ティプトロニック」でした。
電子制御可変ダンパーを装備
ティプトロニックを選んだ場合のパフォーマンスは、カイエンSが最高速度242km/h・0-100km/h加速7.5s、カイエンターボが最高速度266km/h・0-100km/h加速5.6sでした。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、両モデルに「PASM」と呼ばれる電子制御可変ダンパーが標準装備されました。
さらに、車高調整機能が備わる「ニューマチックスプリングサスペンション」がカイエンターボに標準装備され、カイエンSにはオプション設定されました。そのほか、リアディファレンシャルのロック機構や油圧連結式の前後スタビライザーなどが装備される「アドバンスドオフロードテクノロジーパッケージ」がオプションで用意されました。
V6エンジン車などを追加
そして翌2003年に、3.2L V6 NAエンジン(最高出力250ps/最大トルク31.6kgm)を搭載するエントリーモデル「カイエン」が追加されました。次いで2006年のマイナーチェンジで957型に移行、エクステリア・デザインが一部変更されるとともに、エンジンの排気量がカイエンは3.6Lに、カイエンS/カイエンターボは4.8Lにそれぞれ拡大されました。
スペックは、カイエンが最高出力290ps/最大トルク39.3kgm、カイエンSが最高出力385ps/最大トルク51kgm、カイエンターボが最高出力500ps/最大トルク71.4kgmで、いずれも従来から大幅なアウトプット向上を実現しました。続いて翌2007年、カイエンSとカイエンターボの間を埋める新グレードとして、4.8L NAエンジンの最高出力を405psに高めて搭載する「カイエンGTS」が設定されました。
さらに2008年、4.8Lターボエンジンのアウトプットを最高出力550ps/最大トルク76.5kgmまで高めて搭載する最上級グレード「カイエンターボS」が追加されました。追って2009年には、3L V6ディーゼルターボエンジン(最高出力240ps/最大トルク56.1kgm)を搭載する「カイエンディーゼル」がラインナップに加えられました。
そして2010年にフルモデルチェンジが実施され、現行型となる2代目958型に移行しました。