ランチアは1999年のフランクフルト・ショーで、1989年に登場した「デドラ」の後継モデルとなるミディアムセダン/ステーションワゴンの「リブラ」を発表しました。同じくフィアット・グループに属するアルファロメオの「156」とプラットフォームを共有する姉妹車種となる一方、パワートレインは全く異なるユニットが採用されました。
社内デザインを採用
ボディのデザインは、IDEAに委託されたデドラとは異なり、社内のデザインスタジオにより手掛けられました。スタイリングは、ボクシーなイメージでヘッドランプも角形だったデドラから一転し、丸みを帯びたフォルムと丸形2灯式ヘッドランプの組み合わせになりました。又、ステーションワゴンのデザインは、「テーマ」と同様後席用ドアをセダンと共有する手法が取られました。
ボディサイズは、デドラよりも一回り大きい全長4,460mm×全幅1,743mm×全高1,462mmに拡大されました。ホイールベースはアルファ156と実質的に同一の2,593mmで、デドラからは50mm程延長されました。又、ボディ剛性や衝突安全性能の強化に伴い、車両重量も大幅に増加し1,250~1,420kgとなりました。
エンジンはガソリン4種類とディーゼル2種類
サスペンション形式は、フロントはストラット式を踏襲する一方、リアはそれまでのトレーリングアーム式からマルチリンク式に変更されました。駆動方式はFFのみの設定で、デドラに存在したフルタイム4WDは用意されませんでした。当初用意されたエンジンは、1.6L直4DOHC、1.8L直4DOHC、2L直5DOHCのガソリンNA3種類と、1.9L直4SOHC、2.4L直5SOHCの直噴ディーゼルターボ2種類でした。
最高出力/最大トルクは、それぞれ103ps/14.7kgm、133ps/16.7kgm、152ps/19kgm、104ps/26kgm、135ps/31kgmで、トランスミッションはそれぞれに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。一方インテリアは、上級モデルである「カッパ」並みの上質な仕様・フィニッシュを持つのみならず、スイッチ類の操作感にまで拘った設計が行われれていました。
グレード体系は、下から「LE」「LS」「LX」の3タイプがラインナップされました。そして、途中から2.5L直5DOHCガソリンNAエンジン(最高出力175ps/最大トルク23.5kgm)が追加されました。又、ディーゼルターボエンジンは2度に渡り改良が施され、1.9Lは104ps→110ps→115psに、2.4Lは135ps→140ps→150psにと最高出力の向上を果たしました。
そして2005年6月に、後継モデルの登場もないまま生産終了となりました。人気の面では、大人し過ぎるスタイリングが災いしベースモデルのアルファ156には遠く及びませんでした。日本市場には、ガレージ伊太利屋の手により少数が輸入されました。