アウディAGは2013年1月に開催されたデトロイト・ショーにおいて、プレミアム5ドアハッチバックモデル「A7スポーツバック/S7スポーツバック」をベースとした究極の高性能版「RS7スポーツバック」を発表しました。内外装デザインのモディファイはごく控えめであった一方、性能面では大幅な強化が図られていました。
電動リトラクタブルリアスポイラーを装備
開発は、他のRSシリーズ同様アウディAGの100%出資子会社「クワトロGmbH」により手掛けられました。ファストバックの流麗なフォルムを持つボディは、基本的にA7スポーツバック/S7スポーツバックと共通であったものの、フロントグリルの意匠は若干異なっていました。また、リアに電動リトラクタブルスポイラーが備わるのも相違点でした。
ボディ・ディメンションは全長5,012mm×全幅1,911mm×全高1,419mm、ホイールベース2,915mmで、A7スポーツバック/S7スポーツバックと比べ全長が若干延長されていました。車両重量は1,930kgで、S7スポーツバックと比較すると15kg軽量化されていました。駆動方式はS7スポーツバック同様、フルタイム4WD「クワトロ・システム」のみの設定でした。
高性能モデルながらエコ対策も万全
エンジンも基本的にS7スポーツバックと共通の4L V8TFSIツインターボながら、そのスペックは最高出力で140ps、最大トルクで15.3kgm上回る最高出力560ps/最大トルク71.4kgmを発生しました。また、気筒休止システムの「シリンダーオンデマンド」やアイドリングストップ機構、ブレーキエネルギー回生システムといったエコ対策機能も抜かりなく採用されました。
組み合わせられるトランスミッションは、S7スポーツバックが7速DCTの「7Sトロニック」であるのに対し、8速トルコン式ATの「8ティプトロニック」が採用されました。最高速度は、標準仕様はS7スポーツバックと同等の250km/hに留まるものの、オプションの「ダイナミックパッケージ」装着車は280km/h、「ダイナミックパッケージプラス」装着車は305km/hに達しました。
また、0-100km/h加速タイムはS7スポーツバックから0.8s短縮され、3.9sとなっていました。サスペンション形式はフロントが5リンク・ダブルウィッシュボーン式、リアがトラペゾイダルウィッシュボーン式で、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。また、タイヤは前後とも275/30R21という大径かつハイトの低いものが装着されました。
M/Cで安全装備を強化
その後、2014年のマイナーチェンジでヘッドランプやフロントグリル、リアコンビネーションランプの意匠が変更されるとともに、インテリアも一部変更されました。同時に、衝突被害軽減ブレーキ「アウディブレーキガード」や車線変更をアシストする「アウディサイドアシスト」、ステアリング操作に介入して車線維持をアシストする「アクティブレーンアシスト」などが標準化されました。
次いで2015年、4L V8ツインターボエンジンの最高出力を605psまで高めて搭載する「パフォーマンス」が追加されました。RS7は、日本市場には2014年1月に初上陸を果たしました。その後2015年4月にマイナーチェンジ版に切り替えられ、さらに2016年8月にパフォーマンスが追加されました。いずれのモデルも、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様が用意されました。