富士重工業は1993年5月、スバルブランド40周年を記念した特別仕様車として、軽自動車「スバル・ヴィヴィオ」のSOHC NA電子燃料噴射エンジン車をベースにタルガトップ風ボディを架装した「スバル・ヴィヴィオTトップ」を3000台限定で発売しました。追って1994年2月には、同ボディにSOHCメカニカルスーパーチャージャーエンジンを搭載する「GX-T」が1000台限定で発売されました。
「フリースタイル・マルチトップ」を採用
ボディは2ボックス型3ドア/5ドアハッチバックのベースモデルに対し、独立したトランクルームが備わる3ボックス型2ドアとなっていました。又、フロントマスクはTトップはハッチバックNAエンジン車と共通のデザインが、GX-TはハッチバックMSCエンジン搭載グレード「GX」と共通のフォグランプとスポイラーが備わるデザインが採用されました。
そして両モデルの最大の特徴は、ロールバー状のCピラーを残し手動で着脱する事が可能なハードトップと、電動昇降式のリアウィンドウが備わる「フリースタイル・マルチトップ」の採用でした。又、外観からは2シーターのように見えるもののミニマムなリアシートが備わり、法規上の乗車定員はハッチバックと同様4名となっていました。
ボディスペックは両モデル共に全長3,295mm×全幅1,395mm×全高1,380mm、ホイールベース2,310mmで、全高が5mm高くなった事を除きハッチバックと同一のディメンションでした。車両重量はTトップが730~740kg、GX-Tが780kgで、同一仕様のハッチバックよりやや重くなっていました。(※ハッチバックGXは730kg)
基本メカニズムはハッチバックと共通
サスペンションはハッチバック同様、フロント:L型ロアアーム・ストラット式/リア:デュアルリンク・ストラット式の4輪独立懸架が踏襲されました。駆動方式は両モデル共にFFで、ハッチバックに設定のあった4WDは用意されませんでした。エンジンはハッチバック同様660cc直4のEN07型で、トランスミッションはTトップには5速MTとECVT(CVT)が設定され、GX-TはECVTのみの設定でした。
エンジンの最高出力/最大トルクはTトップMT車が52ps/5.5kgm、同ECVT車が48ps/5.6kgm、GX-Tが64ps/8.6kgmで、いずれもハッチバックと同一のスペックでした。ブレーキは両モデル共にフロント:ディスク式/リア:ドラム式で、ホイール&タイヤはTトップが12インチスチールホイール+135SR12タイヤ、GX-Tが13インチアルミホイール+155/65R13タイヤの組み合わせでした。
その他の装備面では両モデルに大きな違いはなく、エアコンも共にマニュアル仕様でした。この両モデルの販売終了以降、同形式のボディを持つ車種は発売されておらず、希少価値の高いモデルとなりました。