プジョーは1977年11月、「304」及び「404」の後継車種となる新型4ドアセダン「305」をリリースしました。横置きFFのイシゴニス式レイアウトや4輪独立懸架の足回りなど、基本メカニズムは304譲りとなる一方、車格はそれより上級の404に匹敵するモデルでした。後に、リアサスペンションに独自の構造を採用した5ドアステーションワゴン「ブレーク」が追加されました。
プレーンなスタイリング
エクステリア・デザインは、304/404と同様ピニンファリーナにより手掛けられたものの、それらとは異なり直線基調のプレーンなスタイリングが備わっていました。ボディのディメンションは全長4,237mm×全幅1,630~1,642mm×全高1,400~1,405mm、ホイールベース2,620mmで、全長とホイールベースは304と404の中間程度となる一方、全幅はそれらよりもワイド化されました。
当初用意されたエンジンは、304譲りのガソリン1.3L直4SOHC(最高出力65hp/最大トルク9.6kgm)とそれをベースにストロークを拡大した1.5L直4SOHC(最高出力74hp/最大トルク11.8kgm)の2種類で、トランスミッションは共に4速MTが組み合わせられました。又、ブレーキは304同様にフロントにディスク式が採用されました。
サスペンション形式は、304と同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が採用されました。グレード体系は当初、1.3Lの「GL」「GR」と1.5Lの「SR」の3タイプがラインナップされました。そして1979年に、1.5L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力49hp/最大トルク8.7kgm)を搭載する「GRD」が追加されました。
高性能版と続々と登場
ブレークが発表されたのは翌1980年のジュネーブ・ショーにおいての事で、こちらのグレード体系は1.3LガソリンのGL、1.5LガソリンのSR、ディーゼルのGLD/SRDの4タイプのラインナップでした。更に1981年、セダン=ベルリーヌにガソリン1.5Lエンジンのアウトプットを最高出力89hp/最大トルク12.7kgmまで高めて搭載する「S」が追加されました。
追って翌1982年にマイナーチェンジが実施され、スタイリングやメカニズムをリファインしたシリーズ2に移行しました。同時に、ベルリーヌにガソリン1.6L直4SOHCエンジン(最高出力93hp/最大トルク13.5kgm)+5速MTを搭載する「GT」が追加されました。更に1984年には、ベルリーヌにガソリン1.9L直4SOHCエンジン(最高出力104hp/最大トルク16.4kgm)+5速MTを搭載する「GTX」が追加されました。
同時に、GT用のエンジンに4速トルコン式ATを組み合わせて搭載する「オートマチック」もラインナップに加わりました。そして後継モデルとして1985年に「309」が、1987年に「405」がリリースされてからも暫く販売が継続された後、1989年に生産終了となりました。