日産のミニバン「バネットセレナ」は、1991年6月に「バネットコーチ」の後継モデルとして発売が開始されました。ボディ形状がそれまでのキャブオーバー型から短いボンネットが備わるセミキャブオーバー型へと変化した他、このカテゴリーではかつてない程走行性能に拘って設計された事が特徴でした。
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ロングホイールベースと空力ボディが特徴
ボディサイズは全長4,315mm×全幅1,695mm×全高1,850mm~1,915mmで、バネットコーチ同様5ナンバーサイズが踏襲されました。又、ボディサイズが大差ないにも関わらず、ホイールベースがバネットコーチよりも40cm近く長い2,735mmとなった事が特徴でした。車両重量はグレードによる差が大きく、1,250kg~1,700kgでした。
スタイリングは、流麗なプロポーションを持つ1.5ボックス型で、ミニバンながらCd値0.35という優秀な空力特性を備えていた他、フロントタイヤが運転席より前方に位置し、乗用車的な運転感覚が備わる点も特徴でした。バネットコーチ同様、後席用スライドドアが左側のみに装備される4ドア仕様で、乗車定員は7人及び8人の2種類が設定されました。
サスペンションを一新し拘りのメカニズムを装備
駆動方式はバネットコーチ同様FRがベースで、フルタイム4WDも引き続き設定されました。又、パワートレインは従来同様助手席下部に搭載されました。サスペンションは一新され、フロントがストラット式となり、リアがワゴンの廉価グレードとカーゴがリジッド・リーフ式、それ以外のワゴンには操縦安定性の点で有利なマルチリンク式が採用されました。
エンジンは、1.6L直4ガソリンのGA16DE型(最高出力100ps/最大トルク13kgm)、2L直4ガソリンのSR20DE型(最高出力130ps/最大トルク17.5kgm)、2L直4ディーゼルNAのCD20型(最高出力76ps/最大トルク13.5kgm)、同ディーゼルターボのCD20T型(最高出力91ps/最大トルク18.8kgm)の4種類が用意され、トランスミッションはそれぞれ5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
その他の機構面では、一部グレードに4輪操舵システム「スーパーHICAS」やビスカスLSDを装備するなど、ミニバンらしからぬ走行性能への拘りが特徴でした。翌1992年1月に、日産系子会社「オーテックジャパン」より、大型前後バンパーや専用ボディカラーと内装色を採用した特別限定モデル「サンキャット」が発売されました。
次いで1993年8月のマイナーチェンジにより、ワゴンのCD20型エンジン搭載車が廃止されました。翌1994年5月のマイナーチェンジの際には、インパネのデザイン変更などが行われた他、車名が「セレナ」に変更されました。又、1997年1月のマイナーチェンジでは、全車にABSが標準装備になるなどの変更と共に、1.6L車が廃止されました。
バネットセレナ CM
初代バネットセレナ/セレナは、当時としては新鮮なコンセプトや日本の路上で扱い易いサイズが消費者から高く評価された為、販売は好調で、8年に渡るロングセラーモデルとなりました。