ベントレー・モーターズは1952年、高級車「マークⅥ」をベースとした発展型「Rタイプ」をリリースしました。姉妹車種である親会社ロールス・ロイス製の「シルヴァードーン」のマイナーチェンジに伴い登場したモデルで、マークⅥから基本設計を踏襲しながらも、トランクスペースの拡大や4速ATのオプション設定といった変更が施されていました。
ボディサイズを拡大
シャシーは、マークⅥ用をベースに改良を加えたものが採用されました。ボディはマークⅥ同様に、ロールス・ロイス製が用意されたほか、フリーストーン&ウェッブやH.J.ミュリナー、パークウォードなどさまざまなコーチビルダー製のものが存在しました。ボディタイプもマークⅥ同様、4ドア・セダンや2ドア・フィクスドヘッドクーペ、2ドア・ドロップヘッドクーペなどが製造されました。
標準版4ドア・セダンのボディサイズは全長5,067mm×全幅1,778mm×全高1,676mmで、マークⅥから一回り拡大されました。一方、ホールベースは同一の3,048mmで、車両重量は60kgほど重い1,880kgとなっていました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンもマークⅥ譲りの4.6L直6oise方式(吸気側OHV/排気側SV)SUツインキャブレター仕様がキャリオーバーされました。
最高出力や最大トルクは、公表されませんでした。トランスミッションは4速MTが標準で、最高速度164km/h・0-80km/h加速10s・0-400m加速19.1sの性能を発揮しました。サスペンションはマークⅥ同様、フロントがコイルスプリングによる独立懸架式、リアが半楕円リーフ・リジッド式でした。
引き続き高性能版コンチネンタルも用意
また、マークⅥ同様に、H.J.ミュリナーの手により高性能版の「コンチネンタル」も製造されました。こちらには、全長5,245mm×全幅1,816mmと大柄ながらも、1,651kgまで軽量化された2ドアセダン型ボディが採用されました。エンジンは標準モデルと同じ4.6L直6をベースに圧縮比と高めたものと、4.9L直6の2種類が用意されました。最高速度は前者が171km/h、後者は188km/hに達しました。
そして1955年、ロールス・ロイス・シルヴァードーンが「シルヴァークラウド」にモデルチェンジされたことにともない、ベントレー・Rタイプもシルヴァークラウドをベースとした「タイプS」にバトンタッチされました。Rタイプの総生産台数は2,320台で、そのうちコーチビルダー製は303台でした。
一方、Rタイプ・コンチネンタルは208台が生産され、そのうち15台は他のコーチビルダー製の2ドアクーペボディなどを架装するモデルでした。