フェラーリは2017年3月に開催されたジュネーブ・モーターショーにおいて、「F12ベルリネッタ」に代わる新型フラッグシップモデル「812スーパーファスト」を発表しました。最高出力800psのエンジンを搭載、フェラーリ史上最強かつ最速のロードゴーイングカーを謳うほか、ハイテクを駆使したさまざまな新機軸が採用されました。
空力特性が大幅に向上
ボディタイプはF12ベルリネッタ同様フィクスドヘッドの2ドアクーペで、エクステリア・デザインは基本的なイメージを継承しながらも、ボディ側面の彫刻的なプレスラインやハイデッキ化などにより、一段とアグレッシブなものとなりました。また、アクティブフラップなどの採用により、空力特性が大幅に向上したことも特徴でした。
ボディサイズは全長4,657mm×全幅1,971mm×全高1,276mmで、F12ベルリネッタから若干拡大された一方、車両重量は同一の1,525kgに抑えられていました。駆動方式はFRを踏襲するほか、理想的な前後重量配分を実現するトランスアクスル・レイアウトも継承されました。フロント・ミッドに搭載されるエンジンは、F12ベルリネッタの6.3L V12DOHC NAに代わり6.5L V12DOHC直噴NAが採用されました。
スペックは最高出力800ps/8,000rpm・最大トルク73.2kgm/7,000rpmで、F12ベルリネッタの最高出力740ps/8,250rpm・最大トルク70.4kgm/6,000rpmから60ps/2.8kgmの向上を果たしていました。トランスミッションは、F12ベルリネッタ譲りの7速DCT「F1デュアル・トランスミッション」に変速スピード向上などの改良を加えたものが採用されました。
パフォーマンスは、最高速度はF12ベルリネッタと同等の340km/h以上となるものの、0-100km/h加速タイムは0.2s短縮され2.9sとなりました。また、ブレーキは専用に開発されたブレンボ製エクストリーム・ブレーキが装備され、タイヤはミシュランとピレリがフェラーリ専用に開発したものが採用されました。
電動パワステや後輪操舵システムを採用
走行性能に係る装備としては、フェラーリ初の電動パワーステアリング「EPS」や、後輪操舵システムの「PCV(バーチャルショートホイールベース2.0システム)」が採用されました。さらに、これらとサイドスリップコントロール「SSC」を統括制御して車両安定性を高めるシステムが導入されました。
そのほかにも、ドライバーアシストシステムとして新たにコーナーリング時にグリップが限界に近づくとステアリングの操舵力を変化させる「FPP(フェラーリ・ピーク・パフォーマンス)」や、コーナー脱出時にパワーオン・オーバーステアになるとステアリングの操舵力を変化させる「FPO(フェラーリ・パワー・オーバーステア)」が採用されました。