かつて存在していたアメリカの自動車メーカー、クライスラー(現フィアット・クライスラー・オートモビルズ)は、1992年に開催された北米国際自動車ショーにおいて、「ジープ・チェロキー」の兄貴分となる新型プレミアムSUV「ジープ・グランドチェロキー」を発売しました。旧アメリカン・モーターズがクライスラーに併合されて以来、初の新型ジープモデルでした。
4輪コイル式サスを採用
ボディ構造はラダーフレーム式で、ボディタイプはチェロキーと異なり3ドアの設定はなく、5ドアのみが用意されました。エクステリア・デザインはチェロキー同様直線基調で、角型2灯式ヘッドランプと7スリットのグリルを配したフロントマスクも受け継がれました。ボディサイズは、チェロキーよりも一回り大きい全長4,548mm×全幅1,800mm×全高1,647mmとなっていました。
また、ホイールベースも100mm以上長い2,690mmに設定されました。サスペンションはチェロキー同様の4輪リジッド・アクスル式ながら、リアのスプリングが半楕円リーフ式からコイル式に変更されました。駆動方式は、パートタイム4WDの「コマンドトラック」とフルタイム4WDの「セレクトラック」のほか、2WDも設定されました。
エンジンは当初、チェロキーにも搭載される4L直6OHV(最高出力190ps/最大トルク31.1kgm)のみの設定で、トランスミッションはアイシン製の4速トルコン式ATが組み合わせられました。ブレーキはフロントにベンチレーテッド・ディスク式、リアにドラム式が装備されました。また、安全装備面では運転席SRSエアバッグシステムが採用されました。
V8エンジンを追加
グレード体系は、当初ベースグレードと「SE」、および「リミテッド」の3タイプのラインナップでした。そして翌1993年に、5.2L V8OHVの「マグナム」エンジン(最高出力220ps/最大トルク39.4kgm)が追加されました。次いで1995年、このマグナムエンジンの最大トルクが41.5kgmに向上しました。
続いて1996年にはフェイスリフトが実施され、内外装デザインの変更などと同時に、助手席にもSRSエアバッグシステムが装備されました。また、ベースグレードとSEが廃止された一方で、リミテッドの装備充実化が図られました。次いで1998年、5.9L V8OHVエンジン(最高出力241ps/最大トルク48.1kgm)を搭載する「5.9Lリミテッド」が追加されました。
そしてこの年をもってZJ型グランドチェロキーの生産は打ち切られ、翌1999年に2代目WJ型グランドチェロキーがリリースされました。日本市場における展開は、1993年1月に4Lエンジン搭載のラレードと4Lおよび5.9Lエンジン搭載のリミテッドが導入されました。いずれも駆動方式はフルタイム4WDで、左ハンドル仕様のみの設定でした。
その後1997年2月に、ラレードとリミテッド4L車が右ハンドル仕様に変更され、翌1998年1月にはラレードに代わり「TSi」が設定されました。