光岡自動車は1996年2月、日産自動車の中型乗用車「クルー・サルーン」をベースとした新型車「ガリュー(我流)」を発売しました。プラットフォームや基本コンポーネンツ、ボディシェルの一部をクルー・サルーンから流用しながらも、それとはまったく異なるクラシカル・テイストあふれるスタイリングに仕立てられました。
全長を大幅に延長
ボディタイプは4ドアセダンのみのラインナップで、エクステリア・デザインはグリーンハウスやドアなどはクルー・サルーンと共通であったものの、縦型の大型グリルやオーバーライダー付きのメッキバンパー、丸型2灯式ヘッドランプとその下に配置されたフォグランプ、なだからな傾斜が付けられたトランクフードなどにより、往年のロールスロイス製モデルを彷彿とさせるものとなっていました。
ボディサイズは全長4,860mm×全幅1,730mm×全高1,450mmで、クルー・サルーンから全長が265mm、全幅が35mm拡大されていました。一方、ホイールベースは同一の2,665mmであったため、オーバーハングの長いプロポーションとなっていました。駆動方式はクルー同様FRのみの設定で、エンジンもクルー譲りの2L直6SOHC(最高出力130ps/最大トルク17.5kgm)が搭載されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速MTまたは4速トルコン式ATでした。サスペンション形式はクルー・サルーン同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:5リンク式が踏襲され、ブレーキも同様にフロント:ベンチレーテッド・ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。また、インテリアはエクステリアとは異なりクルー・サルーンから大きな変更はありませんでした。
グレードは2タイプ
グレード体系は、ベーシックな「スタンダード」と上級の「デラックス」の2タイプのラインナップで、安全装備として全車に運転席SRSエアバッグシステムが、さらにデラックスにはABSが標準装備されました。また、快適装備面ではスタンダードにはマニュアルエアコンやAM/FMラジオなどが、デラックスにはフルオートエアコンやAM/FMラジオ+カセットプレーヤー付きオーディオシステムなどが採用されました。
そのほか、オプション装備として両グレードにアルミホイールやウッドパネル、本革シートなどが用意されました。その後1999年12月に、後継モデルとしてY34型「日産・セドリック」をベースとした「ガリューⅡ」が発売されたものの、従来型のガリューも車名を「ガリューⅠ」に変更したうえで販売が継続されました。
そして2002年にベースモデルのクルー・サルーンの生産が打ち切られたことにともない、同年10月をもってガリューⅠの販売も終了となりました。