BMW車をベースとしたチューンドカーの生産で知られるドイツのアルピナ社は、2005年に5代目「BMW・3シリーズ(E90/91/92型)」をベースとしたハイパフォーマンス版「D3ビターボ」を発売しました。同じく3シリーズをベースとする「B3ビターボ」がガソリンエンジン搭載モデルであるのに対し、こちらにはディーゼルエンジンが搭載されました。
ボディは3タイプ
ボディタイプは「リムジン」と呼ばれる4ドアセダンが標準で、オプションで2ドアクーペと「ツーリング」と呼ばれる5ドアステーションワゴンが用意されました。エクテリア面では、専用フロントスポイラーやリアスポイラー、専用アルミホイールの採用などにより3シリーズとの差別化が図られていました。
リムジンのボディ・ディメンションは全長4,520mm×全幅1,817mm×全高1,413mm、ホイールベース2,760mmで、わずかに低められた全高をのぞきベースモデルと同一でした。駆動方式はFRのみの設定で、エンジンは「BMW・320d」用の2L直4ディーゼルターボをベースにチューンナップを施したものが搭載されました。
スペックは最高出力200ps/4,000rpm・最大トルク41.8kgm/2,000rpmで、320dから37ps/7.1kgmの向上を実現していました。トランスミッションは6速MTが組み合わせられ、リムジンの場合で最高速度238km/h・0-100km/h加速7.4sの性能を発揮しました。サスペンション形式は、ベースモデル同様のフロント:ダブルジョイント・ストラット式/リア:5リンク式が踏襲されました。
ツインターボ化で性能が向上
また、走行性能・走行安定性を向上させる電子デバイスとして、「CBC(コーナリング・ブレーキ・コントロール)」や「DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)」が採用されました。その後、2008年にエンジンがツインターボ仕様にアップデートされ、スペックが最高出力214ps/4,100rpm・最大トルク45.9kgm/2,000rpmに向上しました。
同時に、ステアリングにシフトスイッチが備わる6速トルコン式AT「スイッチトロニック」仕様が追加されました。パフォーマンスは、セダン・MT仕様の場合で最高速度244km/h・0-100km/h加速6.9sでした。そして2013年にベースモデルのフルモデルチェンジにともない生産を終了、翌2014年に現行F30/31型3シリーズをベースとした新型D3/D3ツーリングがリリースされました。
日本市場においては、2009年4月に「ビターボリムジン」「ビターボクーペ」「ビターボツーリング」が初上陸を果たしました。左ハンドル仕様が標準であったものの、リムジンのみに右ハンドル仕様がオプション設定されました。トランスミッションはリムジンには6速MTまたは6速ATが、クーペには6速MTが、ツーリングには6速ATが組み合わせられました。