マツダのロータリーエンジン搭載のスポーツカー「サバンナRX-7」は、1978年3月に「サバンナ」の後継モデルとして発売されました。当時、相次いだオイルショックや厳しさを増す排気ガス規制により、スポーツカーに対する社会的な目は厳しく、国産スポーツカーは僅かに「日産フェアレディZ」が存在する程度でした。
そうした状況下で、突如として新型スポーツカーが登場した事は、エポックメイキングな出来事でした。先代の「サバンナ」が、プラットフォームやボディなど大半のコンポーネンツをファミリーカー「グランドファミリア」と共有する凡庸な設計であったのに対し、サバンナRX-7では一転し、新開発の専用プラットフォームに2/2のスポーティなボディを架装する、本格的なスポーツカーとして設計されました。
空力特性の優れた軽量ボディ
マツダとしても、1967年に初代「コスモスポーツ」を発売して以来、久しぶりとなるスポーツカーの投入でした。スタイリングは、低いボンネットとそれに続く流麗なボディライン、そしてリアの大きなグラスハッチが特徴でした。空力特性も良好で、Cd値は0.36でした。又、前席の後には、荷物置き場になる程度の後席が用意されていました。
ボディサイズは、全長4,285mm×全幅1,675mm×全高1,260mmで、「ポルシェ924」とほぼ同程度の大きさで、車両重量はそれよりも軽く、最軽量グレードで1,005kgに抑えられていました。サスペンションは、前ストラット式/後4リンク・リジッド式が採用されていました。駆動方式はコンベンショナルなFR方式ながら、フロントミッドシップレイアウトとする事で、前後重量配分は理想値に近い51:49を実現していました。
サバンナRX-7のCM「羨望のRX-7」
サバンナRX-7(1978) オートモビルカウンシル2020
燃費改善やターボ追加を実施
搭載されたエンジンは、サバンナから受け継いだ573cc×2ローターの12A型で、2L級のレシプロエンジンに匹敵する、130ps/7,000rpmの最高出力と16.5kgm/4,000rpmの最大トルクを発生しました。トランスミッションは、5速MTと3速トルコンATが選択出来ました。1979年10月に、排気ガス浄化システムをそれまでのサーマルリアクター方式から希薄燃焼方式+触媒方式に改め、燃費が向上しました。
1980年11月にマイナーチェンジを実施し、フロントエアダムバンパーの採用によりCd値が0.34に向上した他、エンジンとボディの軽量化が図られました。1982年には、ターボチャージャー付の12A-T型エンジンを搭載したグレードが追加されました。最高出力165ps/6,500rpm、最大トルク23kgm/4,000rpmへと大幅なパワーアップを実現し、車両重量は1,020kgと僅かに重くなったものの、パワーウエイトレシオは大きく向上しました。
初代サバンナRX-7は、国産車では稀少な本格派スポーツカーであった事や、価格が安価であった事が起爆剤となり、発売当初はスポーツカーとしては異例の大ヒットとなりました。一方、乗り味の点では、ポルシェなどの伝統あるスポーツカーには一歩及ばず、それを実現するのは2代目RX-7に託す事になりました。