スズキのミディアムセダン「キザシ」は、2007年のフランクフルトモーターショーに出展されたショーモデル「コンセプト・キザシ」をルーツとし、その後「コンセプト・キザシ2」「コンセプト・キザシ3」の出展を経て2009年7月に市販モデルがまず米国で発売され、同年10月に日本国内でも受注生産の形で販売が開始されました。スズキとして初となるDセグメント車であり、同時に同社のフラッグシップモデルともなっています。
抑揚の効いたスタイリング
スタイリングは抑揚の効いたボディラインを持ち、コンセプトとして掲げた力強さとスポーティさの両立を体現したものとなっています。ボディサイズは全長4,650mm×全幅1,820mm×全高1,480mm、ホイールベースは2,700mmで、競合するモデルであった先代「フォルクスワーゲン・パサート」より若干小ぶりなサイズであり、車両重量は1,490kg~1,560kgとこのセグメントの平均的な数値になっています。
サスペンション形式は、前:ストラット式/後:マルチリンク式で、駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定されます。フルタイム4WDの方式は、フィードフォワード制御を取り入れたオンデマンド式の「i-AWD」で、パワーステアリングの制御と協調して横滑りを制御する機能が備わります。エンジンは、ダウンサイジングターボやハイブリッドのような「飛び道具」は持たず、オーソドックスなガソリンNAユニットが搭載されます。
エンジンはエスクード用のパワー向上型
採用されたのは「エスクード」にも搭載される2.4L直4のJ24B型エンジンで、最高出力188ps/6,500rpm、最大トルク23.5kgm/4,500rpmのスペックはこのクラスとしては平均的なものながら、エスクードと比較すると22ps/0.6kgm勝るスペックとなっています。トランスミッションは6速マニュアルモード付CVTとの組み合わせで、JC08モードで11km/L~11.8km/Lの燃費性能は最近のこのセグメントの車種としてはやや物なりない数値となっています。
インテリアは、スポーティさと優雅さを両立したデザインのインパネや本革製フロントシートを採用する他、マルチインフォメーションディスプレや運転席10ウェイパワーシート/助手席4ウェイパワーシートなどの装備が備わります。安全面では、SRS9エアバッグシステムが標準装備される他、FF車にミリ波レーダーによる衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティシステム」とアクティブクルーズコントロールシステムがオプション設定されます。
キザシはグローバルカーとして企画開発された為、現在も海外に輸出されているものの、先行発売された北米では既に販売終了となっています。又、国内においては受注生産という事もあり発売当初から販売は低迷し、2015年にモデル廃止となりました。