スズキは1991年11月に、2シーターオープン軽スポーツカー「カプチーノ」を発売しました。先んじて同年5月にデビューしたホンダの「ビート」とはメカニズム面で全く異なるものの、同じ軽オープンスポーツカーとして好敵手同士となりました。更に翌1992年9月にスズキ製エンジンを搭載して登場したマツダの「オートザムAZ-1」と共に、軽スポーツカー黄金期を築きました。
3分割式デタッチャブルトップを採用
ボディはアルミ素材の多用により軽量化が図られた事が特徴で、スタイリングはロングノーズ・ショートデッキの古典的なプロポーションを備えていました。又、3分割式デタッチャブルトップの採用により、クローズド、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンの4種類の形態を選択する事が出来ました。ボディサイズは全長3,295mm×全幅1,395mm×全高1,285mmで、全長と全幅は当時の軽自動車規格に準じたものでした。
全高はビートよりも10mm高く、ホイールベースはそれよりも220mm短い2,060mmでした。車両重量は700kgで、ビートよりも60kg軽量に抑えられていました。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式が採用され、駆動方式はMRのビートやAZ-1とは異なりコンベンショナルなFRでした。しかしフロントミッドシップ方式の採用により、前後重量配分は理想に近い51:49を実現していました。
発売当初搭載されたエンジンは、660cc直3DOHCインタークーラーターボのF6A型(最高出力64ps/6,500rpm・最大トルク8.7kgm/4,000rpm)で、トランスミッションは5速MTのみが用意されました。又、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスクブレーキが奢られました。装備面では、エアバッグやABS、トルセン式LSDがオプションで用意されました。
スズキ カプチーノ 新車情報’89
M/Cでエンジンを変更しAT車を追加
グレード体系はモノグレードが基本だったものの、1993年6月と1994年3月、及び同年9月の3度に渡り、ボディカラーの見直しと共に専用ボディカラーを採用した特別仕様車「リミテッド」が発売されました。次いで1995年5月に最初で最後のマイナーチェンジが実施され、エンジンがオールアルミ製のK6A型に置換されると共に、16ビットECUが搭載されました。
この変更により最大トルクが10.5kgm/3,500rpmに向上すると共に、車両重量が10kg軽量化され、更に燃費も2km/Lアップの20km/Lに向上しました。同時に、3速トルコン式AT車が追加されました。AT車はMT車よりも車両重量が10kg重くなる他、燃費が17km/Lとなるのがスペック上の相違点でした。そして1998年に軽自動車規格の改正が実施されると、新規格に対応する事もなく同年10月に生産終了となりました。