日産のスポーツカー「フェアレディZ」は、2008年12月に6年ぶり5度目のフルモデルチェンジを実施し、6代目となりました。ボディのディメンションが先代よりもショート&ワイドになった他、エンジンの排気量拡大やトランスミッションの改良などにより、更なる走行性能向上を図ったモデルとなりました。
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スタイリングは往年のロングノーズ路線に
スタリングは、曲線的でマッシブな雰囲気は先代から踏襲しつつ、かつてのフェアレディZのアイデンティティーであったロングノーズが強調されたプロポーションに変化しました。2シーター専用ボディのみとなる事は先代と同様で、発売当初はクローズドボディのクーペのみが用意されました。又、Cd値は先代同様の0.3でした。
ボディサイズは全長4,250mm×全幅1,845mm×全高1,315mmで、先代比で全長が短縮された一方全幅が拡大され、ホイールベースも100mm短縮され2,550mmとなるなど、より運動性を重視したディメンションに変化しました。一方、ボディにアルミニウム合金を多用し軽量化を図ったものの、車両重量は50kg以上増加し1,480kg~1,530kgとなりました。
インテリア面では、インパネのデザインが先代よりも一層曲線的なイメージに変化したものの、ステアリング正面の大型3連メーターやフェアレディZのアイデンティティーとも言えるコンソールボックス上部の小型3連メーターといった基本レイアウトは、先代から踏襲されました。
プラットフォームはCV36型「スカイラインクーペ」用をベースとしつつ、多くが専用設計となっておりホイールベースも300mm短縮されています。サスペンション形式はスカイラインクーペと同様の前:ダブルウィシュボーン式/後:マルチリンク式で、先代とはフロントサスペンションの形式が異なります。
日産 フェアレディZのCM (2008)
パワートレインを刷新
パワートレインは一新され、エンジンはスカイラインクーペと同一の3.7L V6 NAのVQ37VHR型が採用されました。最高出力336ps/7,000rpm、最大トルク37.2kgm/5,200rpmのスペックは、先代の「バージョンNISMO」に搭載された3.5LのVQ35HR型を凌ぐものでした。トランスミッションは、6速MTとマニュアルモード付7速トルコン式ATが設定されました。
6速MT仕様には、シフトダウン時にブリッピングにより回転数を合わせる「シンクロレブコントロール」機能が、MTとしては世界で初めて装備されました。駆動方式は、フロントミッドシップによるFRが踏襲されました。そして2009年6月、先代にも設定されたハイパフォーマンスグレード「バージョンNISMO」が追加されました。
エンジンは同一形式ながら、スペックが最高出力355ps/7,400rpm、最大トルク38.1kgm/5,200rpmに向上すると同時に、エアロパーツの装備やボディ剛性のアップ、足回りやパワーステアリングの特性変更などが行われました。ボディサイズは標準モデルよりも一回り大きい全長4,405mm×全幅1,870mm×全高1,315mmで、車両重量は1,520kg~1,530kgでした。
国内でのロードスターは販売終了
次いで同年10月、先代にも設定のあったソフトトップ・コンバーチブルの「ロードスター」が追加されました。車両重量は1,540kg~1,580kgで、クーペよりは重くなったものの、軽量設計により先代のロードスターとほぼ同等に抑えられていました。次いで2010年11月に、仕様の改善や新色の追加などが行われました。
2012年7月にマイナーチェンジを実施し、フロントバンパーやアルミホイールのデザイン変更が行われた他、ショックアブソーバーのセッティング変更や新色の追加などが行われました。加えてバージョンNISMOには、エンジンの中低速トルクの向上やボディ剛性の強化、ブレーキタッチの向上などの改良が行われました。
次いで2013年6月、最上級グレード「NISMO」が追加されました。「バージョンNISMO」に対しエンジンのパフォーマンスや外装などに変更はなく、内装の一部変更などで差別化が図られたモデルでした。そして2014年7月にNISMOのみマイナーチェンジを実施し、内外装の変更が行われました。同時に、他のグレードも乗り心地や静粛性の向上などの改善が図られました。
次いで同年9月、国内におけるオープンモデルの不人気に伴い、ロードスターの国内向け販売が終了しました。6代目フェアレディZは、国内においては販売台数こそ限られるものの、2009年に日本カーオブザイヤーのMost Fun部門賞やグッドデザイン賞を受賞するなど、専門家筋から高い評価を受けています。
先代モデル:5代目フェアレディZ
歴代フェアレディZ