ホンダのミニバン「オデッセイ」の初代モデルは、1994年10月に発売されました。当時、国内ではミニバンブームに沸いており、トヨタ、日産、三菱などはそれぞれ売れ筋となるミニバンをラインナップに持っていましたが、ホンダはセダンとクーペが主力でミニバンを持たなかった為、販売面で苦戦を強いられていました。
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そのような状況下で満を持して市場に投入されたオデッセイは、ミニバンとしては比較的全高が低く設定されると共に、Aピラーの傾斜が強くワゴンに近いボディ形状を備えていた事が特徴でした。これは当時のホンダがミニバン用に生産ラインを設ける事ができず、アコードと共通の生産ラインで生産する為、車高に制限があった為だと言われています。リアドアがセダンのようなヒンジタイプであった事も乗用車感覚のミニバンとしてオデッセイに新鮮さを与え、苦肉の策が追い風となりました。
大柄なボディに2.2Lエンジンの組み合わせ
ボディサイズは、全長4,750mm×全幅1,770mm×全高1,645mm~1,690mmという大柄なもので、車両重量はボディサイズの割には軽い1,470kg~1,560kgでした。乗車定員は、2列目シートの仕様の違いにより、6人乗りと7人乗りの2種類が用意されました。駆動方式はFFがベースで、デュアルポンプ式のフルタイム4WDも設定されました。
サスペンションは、操縦安定性の点で有利な4輪ダブルウィッシュボーン式が採用。パワートレインは、発売当初は2.2L直4SOHCのF22B型(最高出力145ps/最大トルク20kgm)と4速トルコン式ATの組み合わせ1種類のみでした。1996年9月に最初のマイナーチェンジが実施され、デュアルSRSエアバッグシステムやABSが標準装備となるなどの改良が施されました。
エンジンを2.3Lに拡大。V6も追加
1997年8月に実施された2度目のマイナーチェンジの際には、フェイスリフトを行うと同時に、エンジンが排気量を2.3Lに拡大すると共にVTEC化されたF23A型(最高出力150ps/最大トルク20.8kgm)に変更されました。F22B型よりもパワーアップを果たしたのみならず、車両重量が30kg以上増加したにも関わらず燃費も改善されていました。
次いで同年10月に、アメリカホンダにより新開発された3L V6SOHC VTECのJ30A型エンジン(最高出力200ps/最大トルク27kgm)を搭載する、「オデッセイ プレステージ」が追加されました。2.3Lモデル同様トランスミッションは4速トルコン式ATで、駆動方式はFFのみの設定でした。エンジン変更に伴い車両重量が増加し、1,600kg~1,610kgとなりました。
初代オデッセイは、それまでのミニバンにはなかった乗用車的な乗り味とミニバンならではの利便性を兼ね備えていた事が消費者から評価され、ホンダが予想していた以上の大ヒットとなりました。それにより、経営状態が苦しかった同社が体制を立て直すきっかけになると共に、その後ミニバンを主力とするメーカーに変貌する事にも繋がりました。