ランボルギーニは、発売から長い期間が経過し、名車と言われながらも旧式化が目立っていた「カウンタック」の後継モデルとして、1990年1月に新型スーパースポーツ「ディアブロ」を発表しました。外観の雰囲気や基本構成などをカウンタックから受け継ぎながらも、劣悪だった視界や居住性が改善された他、排ガスのクリーン化や安全性の向上が図られました。
ボディの空力特性を改善
シャシーはカウンタックと同様マルチチューブラフレーム構造で、ボディはアルミや独自開発による複合素材の採用により軽量化が図られました。サスペンション形式は4輪ダブルボーン式が踏襲されました。デザインを手掛けたのはカウンタックに引き続きガンディーニで、カウンタック同様ウェッジシェイプのフォルムやリトラクタブルヘッドランプ、跳ね上げ式のドアが採用されました。
その一方で、ディテールはより洗練されたものとなり、空力特性も改善されCd値はカウンタックの0.41から0.31へと大幅に向上しました。ボディサイズは全長4,460mm×全幅2,040mm×全高1,105mmで、カウンタックよりも一回り拡大され、ホイールベースも150mm長い2,650mmとなりました。その一方で、車両重量はカウンタック最終モデルよりも若干軽い1,650kgとなりました。
新開発のエンジンを搭載
駆動方式は、発売当初はミウラやカウンタックと同様のMR方式のみが設定されました。ミッドに搭載されるエンジンは、新開発された5.7L V12DOHC電子燃料噴射仕様で、カウンタックの5.2Lキャブレーター仕様エンジンを大幅に凌ぐ最高出力492hp/7,000rpm・最大トルク59.1kgm/5,200rpmのアウトプットを発生し、5速MTを介しての最高速度は325km/hに達しました。
インテリアは、2段式のメーターナセルが備わるインパネや、バックレスト固定式で全体の角度が変わる方式のバケットシートの採用が特徴でした。又、カウンタックには備わらなかったエアバッグや高音質オーディオシステムも装備されました。そして1993年に仕様変更が行われ、車両重量が1,576kgまで軽量化されると共に、インパネのデザインが一新され前方視界が向上しました。
4WD版や高性能版を追加
同時に、ビスカス式フルタイム4WD方式を採用し、電子制御式ダンパーやパワーステアリングを備える「VT」が発表されました。車両重量は2WD車より50kg程重い1,625kgでした。更に同年、2WD車をベースに車体を1,450kgまで軽量化し、エンジンを最高出力525hp/7,100rpm・最大トルク59.2kgm/5,900rpmまでチューンナップした限定車「SE30」が発売されました。
次いで1995年に、カーボンファイバー製デチャッタブルトップを採用した「VTロードスター」が追加されました。更に翌1996年、SE30をベースにしたカタログモデル「SV」が発売されました。エンジンのスペックは最高出力530hp/7,100rpm・最大トルク61.7kgm/5,500rpmで、車両重量はやや重い1,530kgとなり、最高速度320km/hの性能でした。
続いて1998年、「SVロードスター」が追加されると共に、ABSが標準装備されました。次いで1999年には、ヘッドランプが固定式に変更されると共にインパネのデザインが一新されました。同時に、エンジンが可変バルブタイミング機構付きとなりました。更に同年、コンペティションモデル「GT2」をベースとする、究極の性能を持つ限定モデル「GT」が追加されました。
ボディパネルにカーボンファイバー素材を採用し、車両重量が1,490kgまで軽量化されると共に、専用のエアロパーツが装備されました。エンジンは最高出力575hp/7,300rpm・最大トルク64.3kgm/5,500rpmまでチューンナップされ、最高速度338km/hの性能を発揮しました。次いで翌2000年には、GTをベースに排気量を6Lに拡大した「6.0」が追加されました。
スペックは最高出力550hp/7,100rpm・最大トルク63.3kgm/5,500rpmで、車両重量は1,625kg、最高速度330km/hの性能でした。次いで2001年に、6.0をベースにチタン製シフトレバーなどが備わる最終限定モデル「6.0SE」が発売されました。そして同年をもってディアブロは生産終了となり、後継モデルの「ムルシエラゴ」にバトンタッチされました。