ランボルギーニは1977年、米軍向けに初のオフロード型4輪駆動車となる「チーター」を開発したものの、採用はされずプロジェクトは失敗に終わりました。それから4年後の1981年のジュネーブモーターショーで、チーターをベースに民生用にモデファイしたプロトタイプ「LM001」を公開しました。更に翌1982年にLM001を大幅に手直しした「LM002」を発表し、1986年に市販が開始されました。
リアエンジンからフロントエンジンに
車体はチューブラフレームとFRP製アウターパネルから構成され、サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン/コイル式による4輪独立懸架が採用されました。エンジンの搭載位置は、チーターやLM001がリアであったのに対し、LM002では操縦安定性を向上させる為フロントに移動されました。駆動方式はチーター/LM001同様パートタイム4WDで、フロント/センター/リアの各デフにLSDが装備されました。
スタイリングは、チーターやLM001の雰囲気を色濃く受け継ぐ角張った無骨なもので、チーター/LM001ではエンジンが搭載されていた4人乗りキャビンの後方部分は、4人分の補助シートが備わる荷台に変更されました。又、新たにエンジンが備わったフロントフード上には、キャブレターのスペースをクリアする為に巨大なパワーバルジが備わりました。
カウンタック用のエンジンを搭載
ボディサイズは全長4,900mm×全幅2,000mm×全高1,850mmという巨大なもので、ホイールベースは3,000mm、車両重量は2,700kgに達しました。搭載されたエンジンは、LM001ではAMC製5.9L V8若しくは「カウンタックLP500S」用の4.7L V12 24バルブであったのに対し、「カウンタック5000QV」用の5.2L V12 48バルブユニットをオフロード走行に適するよう仕様変更したものに変更されました。
スペックは最高出力450hp/6,800rpm・最大トルク51kgm/4,500rpmで、LM001の3速トルコン式ATから5速MTに変更されたトランスミッションを介しての最高速度は、206km/hに達しました。LM001の160km/h(5.9L V8)/180km/h(4.7L V12)からは、大幅な性能向上を果たしました。その一方で、LM001では4輪ベンチレーテッドディスク式であったブレーキは、リアがドラム式にダウングレードされました。
室内は、運転席と助手席の間に巨大なセンターコンソールが備わり、シートやトリムには本革が奢られました。又、エアコンやオーディオシステムが装備されるなど、ラグジュアリーな仕様でした。派生モデルとしては、リアオーバーハングを延長しハイルーフ化した「LM002ブルネイ」や、電子燃料噴射仕様エンジンを搭載し専用の内外装が備わる「LM002アメリカン」が存在しました。
LM002は1993年に生産を終了し、後継モデルとして3.6Lディーゼルターボエンジンを搭載する「LM003」や、7L V12エンジンを搭載する「LM004」が制作されたものの、プロトタイプのみに留まり市販化される事なく終わりました。