ランボルギーニは、「350GT」の上級グレードとして発売された「400GT」の後継モデルとして、1968年のジュネーブショーで同じくグランツーリスモとしての性格を持つ2ドア2+2シータークーペ「イスレロ」を発表しました。400GTの基本メカニズムを踏襲しながら、一新されたモダンなスタイリングを持っていました。しかし販売は振るわず、2年間に少量が生産されただけで後継モデル「ハラマ」に後を譲りました。
リトラクタブルヘッドランプを採用
車体構造は、400GTから継承されたマルチ・チューブラ・フレームを採用し、サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式を踏襲しつつスタビライザーの強化が図られました。ボディの素材は400GTと同様スチール製で、スタイリングはリトラクタブル式に改められたヘッドランプや直線基調のボディラインにより、プレーンなイメージに変貌しました。又、リアバンパー下部にテールランプが備わる個性的なリアビューが特徴でした。
ボディサイズは全長4,525mm×全幅1,730mm×全高1,300mmで、400GTから全長が115mm短縮された一方、全高は15mm高くなりました。ホイールベースは同一の2,550mmで、車両重量は75kg重い1,315kgでした。ブレーキは4輪ディスク式を踏襲しながら、ローターの大径化が図られました。駆動方式は引き続きFRを採用し、パワートレインも4L V12DOHCエンジン+5速MTがキャリオーバーされました。
ランボルギーニ イスレロのエンジン音や走行シーン
エンジンは400GT譲り
デビュー時のエンジンの仕様は、400GT時代と同じく圧縮比9.5:1でウェーバー6連キャブレターを搭載、スペックも最高出力320hp/6,500rpm・最大トルク38kgm/4,500rpmで変更はありませんでした。最高速度は250km/hで、これも400GTと同一でした。インテリアは、メーター類がドライバー正面とコンソールボックス上に分けて装備されていた400GTとは異なり、8つのメーターが全てインパネ上に備えられました。
又、インパネやセンターコンソールの仕上げが木目張りに変更されると共に、北米の保安基準に適合させる為、スイッチ類がタンブラータイプからロッカータイプに変更されました。その他、遮音材の追加により静粛性の向上が図られた事も特徴でした。しかし販売は伸び悩んだ為、その対策として翌1969年に高性能版の「イスレロS」が発売されました。
エンジンの圧縮比を10.5:1まで高め、最高出力350hp/7,700rpm・最大トルク40kgm/5,500rpmまでアウトプットを向上させた事で、最高速度は260km/hに向上しました。同時にエクステリアにも小変更が加えられ、フロントフェンダー後方にエアアウトレットが設けられた他、前後のフェンダーに控えめなリップが装備されました。しかし、翌1970年3月に「ハラマ」が発表された事に伴い、イスレロSは生産終了となりました。