1989年に「レクサス・LS」の国内版としてデビューを飾ったトヨタのプレミアムサルーン「セルシオ」は、1994年10月にフルモデルチェンジを実施し2代目モデルとなりました。初代からのキープコンセプトながら、初期型においてはボディが軽量化されると共に、燃費性能や取り回し性の向上が図られました。更に改良を受けた後期型では、安全性能が大幅に向上しました。
ロングホイールベースと小回り性を両立
スタイリングは、先代の雰囲気を色濃く残しながらも空力特性を更に向上させ、Cd値0.28を実現しました。又、プラットフォームにも改良が加えられました。ボディサイズは全長4,995mm×全幅1,830mm×全高1,415mmで、実質的に先代と同等のディメンションをキープした一方で、ホイールベースは35mm延長され2,850mmとなりました。初期型の車両重量は1,640~1,710kgで、先代後期型から90~120kg軽量化されました。
又、最小回転半径が0.2m縮小され5.3mとなりました。サスペンションは先代同様の4輪ダブルウィッシュボーン式で、「A仕様」にコイルスプリングが、「B仕様」に路面状況に応じ減衰力が自動的に切り替わる「ピエゾTEMS」と呼ばれる電子制御スプリングが、「C仕様」に電子制御エアスプリングが採用される点も踏襲されました。
駆動方式は先代同様FRで、エンジンも先代からキャリオーバーされた4L V8DOHCの1UZ-FE型でした。スペックは最高出力が5psアップの265ps、最大トルクが1kgmアップの37kgmとなり、トランスミッションは電子制御化された4速トルコン式AT「ECT-i」が組み合わせられました。10.15モード燃費は、先代の7.2~7.5km/Lに対し8km/Lに向上しました。
グレード体系は先代からそのまま継承され、C仕様に後席用の快適装備が備わる「Fパッケージ装着車」が設定される点も同様でした。装備面では、A仕様を除く全車にCDオートチェンジャーや撥水フロントウィンドウ、トラクションコントロールなどが標準装備されました。更にFパッケージ装着車には、後席用パワーシートやバイブレーター、ヒーターなどが装備されました。
改良により安全装備が充実
そして1996年8月に一部改良を行い、衝突安全ボディ「GOA」が採用された他、A仕様を含む全車にSRSサイドエアバッグシステムやトラクションコントロールが標準化されました。同時に、A仕様及びB仕様に欧州仕様サスペンションやブラックレザーシート、サンルーフが備わる「eRバージョン」が追加されました。次いで1997年7月に、マイナーチェンジが実施されました。
エクステリア面では、フェイスリフトによりフロント廻りのイメージが一新された他、ディスチャージヘッドランプの採用やリアコンビネーションランプの大型化が行われました。同時に、エンジンがVVT-i&可変吸気システム化され、スペックが最高出力280ps/最大トルク41kgmに向上すると共に、ATが5速化されました。これらの改良に伴い、燃費が8.2~8.5km/Lに向上しました。
更に、全車に横滑り防止装置「VSC」やブレーキアシスト、エンジンイモビライザーなどが標準装備された他、ナビゲーションシステムがCD式からDVD式に変更されました。こうした改良の一方で、車両重量は再び増加し初代モデル並みの1,740~1,800kgとなりました。そして2000年8月にフルモデルチェンジを実施し、3代目モデルにバトンタッチされました。