1972年に初代モデルがデビューしたBMWのミディアムセダン「5シリーズ」は、1988年1月に7年ぶり2度目のフルモデルチェンジを実施し、3代目のE34型に移行しました。先代からボディ剛性が大幅に強化されると共に、空力特性が一段と向上した事が特徴でした。又、同シリーズ初のステーションワゴンやV8エンジン搭載車が追加された事もトピックでした。
ボディサイズを拡大
ボディタイプはまず4ドアセダンが登場し、1990年にステーションワゴンの「ツーリング」が追加されました。スタイリングは、ボクシーなイメージだった先代と比較し流麗なフォルムに変貌すると共に、Cd値が0.38から0.3~0.32に向上しました。ボディサイズは全長4,720mm×全幅1,750mm×全高1,415mm(セダン)/1,420mm(ツーリング)で、先代から全長が100mm、全幅が50mm拡大されました。
ホイールベースは140mm延長され2,765mmとなり、車両重量も大幅に増加し1,540~1,780kgとなりまた。駆動方式は先代同様FRが基本となるものの、追って5シリーズ初のフルタイム4WD車が追加されました。サスペンション形式は、先代同様のフロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。初期のグレード体系は、「520i」「525i」「530i」「535i」「524td」の5種類でした。
搭載されたエンジンは全車直6燃料噴射仕様で、ガソリン各車は「520i」が排気量2L(最高出力150ps/最大トルク19.4kgm)、「525i」が排気量2.5L(最高出力192ps/最大トルク25kgm)、「530i」が排気量3L(最高出力191ps/最大トルク26.5kgm)、「535i」が排気量3.5L(最高出力211ps/最大トルク31.9kgm)で、唯一のディーゼルターボ車「524td」は排気量2.4L(最高出力115ps/最大トルク21.4kgm)でした。
トランスミッションは、まず5速MTと4速トルコン式ATが設定され、1990年に「320i」と「325i」のATが5速化されました。そして同じ1990年に、2.5Lエンジン搭載のフルタイム4WDグレード「525iX」が追加されました。更に1992年、V8エンジンを搭載する「530i」(排気量3L:最高出力218ps/最大トルク29.6kgm)と「540i」(排気量4L:最高出力286ps/最大トルク40.8kgm)が追加されました。
エアバッグを標準化
トランスミッションは、6速MTと5速トルコン式ATが設定されました。それに伴い、直6エンジン搭載の「530i」と「535i」がカタログ落ちした他、全車に運転席SRSエアバッグシステムが標準装備されました。次いで1994年には、直6エンジン車のフロントグリルがV8エンジン車と同様のデザインに変更された他、全車助手席にもSRSエアバッグシステムが採用されました。
そして1996年にフルモデルチェンジを実施し、4代目のE39型にバトンタッチされました。日本市場には、4WD車とディーゼル車、直6エンジン時代の「330i」を除く各グレードが正規輸入されました。トランスミッションは全車ATのみの設定でした。