1972年に初代モデルがデビューしたBMWのミディアムセダン「5シリーズ」は、1981年に初のフルモデルチェンジを実施し2代目のE28型に移行しました。スタイリングや基本メカニズムなどは初代からのキープコンセプトであったものの、ボディの空力特性が改善された他サスペンションの改良が図られるなど、着実に進化したモデルとなりました。
Cd値が0.6ポイント向上
ボディタイプは初代同様4ドアセダンのみの設定で、プラットフォームは1976年に発売された2ドアクーペ「6シリーズ(E24型)」と共用になりました。スタイリングは初代のイメージを受け継ぎながらも、ロングノーズ化やハイデッキ化などにより空力特性を改善、Cd値は0.44から0.38に向上しました。ボディサイズは全長4,620mm×全幅1,700mm×全高1,415mmで、初代より全幅が10mm広く全高は10mm低くなりました。
又、ホイールベースは初代から10mm程短縮された2,625mmで、車両重量は1,140~1,630kgでした。駆動方式はFRを踏襲し、サスペンションはフロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式の形式を受け継ぎながら、フロントのストラットがダブルジョイント式に変更されました。初期のグレード体系は、欧州向けには「518」「520i」「525i」「528i」の4種類が、北米及び日本向けには「528e」が設定されました。
多彩なエンジンを用意
各グレードの搭載エンジンは、「518」が唯一の直4キャブレター仕様で排気量1.8L(最高出力90ps/最大トルク14.3kgm)、それ以外は全て直6燃料噴射仕様で、「520i」が排気量2L(最高出力125ps/最大トルク17.3kgm)、「525i」が排気量2.5L(最高出力150ps/最大トルク21.9kgm)、「528i」が排気量2.8L(最高出力184ps/最大トルク26.5kgm)、「528e」が排気量2.7L(最高出力125ps/最大トルク24.5kgm)でした。
トランスミッションは、4速/5速MTと3速トルコン式ATが設定されました。そして1983年に、3.2L直6エンジン(最高出力184ps/最大トルク27kgm)を搭載する北米/日本向けの「533i」と、2.4L直6ディーゼルターボエンジン(最高出力115ps/最大トルク21.4kgm)を搭載する「524td」が追加されました。更に翌1984年には、「518」のエンジンが燃料噴射仕様(最高出力105ps/最大トルク14.8kgm)に置換され「518i」となりました。
同時に、3.4L直6エンジン(最高出力214ps/最大トルク31.1kgm)を搭載し、専用の足回りやオーバーフェンダーを備えるスポーティグレード「535i」(M535i)が追加されました。次いで1985年に、ATが従来の3速から4速に変更されました。尚、日本市場には前述した「528e」と「533i」の他に、「518i」「520i」「524td」「M535i」が正規輸入されました。(※日本仕様は末尾に「A」が付加される)
そして1988年にフルモデルチェンジが実施され、3代目のE34型にバトンが渡されました。