BMWは1972年、1961年のデビューで旧式化していた「1800/2000」系に代わるミディアムクラスセダンとして、ニューモデル「5シリーズ」を発売しました。ボディサイズが一回り拡大された他、クラッシュブルボディやビルトインロールバー、コラプシブルステアリングを採用するなど、安全性を向上させる構造・機構が採用された事が大きな特徴でした。
4ドアセダンのみの設定
ボディタイプは4ドアセダンのみの設定で、直線基調のボディラインを1800/2000系から受け継ぎながらも、遥かにモダンな雰囲気が備わっていました。ボディサイズは全長4,620mm×全幅1,690mm×全高1,425mmで、全長と全幅が拡大された一方で全高は低くされた近代的なディメンションに変化しました。又、ホイールベースは80mm以上延長され2,636mmとなりました。
車両重量は1,230~1,420kgで、1800/2000系よりも増加しました。サスペンション形式は、フロント:ストラット式/リア:セミトレーリングアーム式を踏襲し、駆動方式も同様にFRが採用されました。発売当初のグレード体系は「520」と「520i」の2種類で、エンジンは前者が2L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力115ps/最大トルク16.8kgm)、後者が同燃料噴射仕様(最高出力130ps/最大トルク18.2kgm)でした。
トランスミッションは4速及び5速MTの他、オプションで3速トルコン式ATを選択する事が出来ました。次いで1973年に2.5L直6SOHCキャブレター仕様エンジン(最高出力145ps/最大トルク21.2kgm)を搭載する「525」が、翌1974年には廉価版として1.8L直4SOHCキャブレター仕様エンジン(最高出力90ps/最大トルク14.3kgm)を搭載する「518」が追加されました。
3L直6 SOHCエンジンが追加
更に1975年、2.8L直6SOHCキャブレター仕様エンジン(最高出力170ps/最大トルク23.8kgm)を搭載する「528」と、3L直6SOHC燃料噴射仕様エンジン(最高出力178ps/最大トルク25.6kgm)を搭載する主に北米市場向けの「530i」が追加されました。そして1977年にマイナーチェンジが実施され、フェイスリフトやテールランプの意匠変更などが行われました。
更にモデル末期となった1980年には、3.5L直6SOHCエンジン(最高出力218ps/最大トルク31kgm)を搭載すると共に、エアロパーツを装備したスポーツセダン「M535i」が追加されました。トランスミッションは5速MTが組み合わせられ、最高速度228km/h・0-100km/h加速7.2s・0-400m加速15.2sという高性能を発揮しました。
一方、日本ではまず1973年に「520」の輸入が開始され、1975年には「520i」と「530i」に切り替えられました。エンジンの最高出力は「520」は本国仕様と同一だったものの、その後のモデルは国内の排出ガス規制に適合させる為に低下し、「520i」は105ps、「530i」は175psとなりました。次いで1980年に再度モデルの切り替えが行われ、「518i」(最高出力100ps)と「528i」(最高出力165ps)の2グレードとなりました。
そして1981年にフルモデルチェンジが行われ、2代目のE28型にバトンタッチされました。