BMWは1992年、1990年に発売した3代目「3シリーズ」をベースとしたハイパフォーマンスモデル、E36型「M3」を発表しました。先代E30型M3が生産終了となって以来2年ぶりの復活となったこの新型は、6気筒エンジン搭載によりパフォーマンスが一段と向上していました。
まずはクーペから
ボディタイプは、3シリーズに用意された各ボディの中からまず2ドアクーペが用意されました。スタイリングは、直線基調の先代に対し曲線を取り入れたフォルムに変貌しました。また、先代は3シリーズに対しボディパネルの大半が再設計されていたのに対し、エアダム・バンパーやサイドシルの採用など一部のモディファイに留められました。
ボディサイズは全長4,433mm×全幅1,710mm×全高1,335mmで、先代から全長・全幅が拡大された一方、全高は低められました。また、3シリーズに対してはワイド&ローなディメンションとなっていました。ホイールベースは2,700mmで、先代から135mm延長されました。また、車両重量は1,460kgで、先代から200kg以上増加しました。
サスペンション形式は、フロントはストラット式を踏襲し、リアは先代のセミトレーリングアーム式からセントラルアーム式に変更されました。この形式は3シリーズと共通であったものの、スプリング/ダンパーやアーム類には強化が施されていました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは先代の2.3L直4DOHC NAに代わり、当初3L直6DOHC NAが搭載されました。
スペックは最高出力286ps/7,000rpm・最大トルク32.7kgm/3,600rpmで、先代から大幅な向上を果たしていました。5速MTを介してのパフォーマンスは最高速度250km/h(リミッター作動)・0-100km/h加速6sで、先代のどの仕様よりも優れていました。また、4輪ディスク式のブレーキは、フロントに加えリアにもベンチレーテッド型が採用されました。
セダンとカブリオレを追加
タイヤは先代からワイド&大径化が図られ、235/40ZR17が装着されました。その後1994年に、4ドアセダンと2ドア・4シーター仕様のオープンモデル「カブリオレ」が追加されました。さらに翌1995年にはマイナーチェンジが実施され、パワートレインが3.2L直6DOHC NAエンジン(最高出力321ps/7,400rpm・最大トルク35.7kgm/3,250rpm)と6速MTの組み合わせに置換されました。
そのパフォーマンスは、リミッターが介入する最高速度に変化はなかったものの、0-100km/h加速タイムは5.2sまで短縮されました。次いで1996年、「SMG」と呼ばれるシングルクラッチ式6速AMT仕様が追加されました。そして1998年、ベースモデル3シリーズのフルモデルチェンジにともない生産を終了、その2年後の2000年に新型3シリーズをベースとしたE46型M3がリリースされました。
日本市場においては、1994年2月にクーペ・左ハンドル仕様の導入が開始されました。その後1996年12月に、マイナーチェンジ版への切り替えが行われました。当初は6速MT仕様のみの設定だったものの、翌1997年6月に6速SMG仕様車が追加されました。