BMWの中型クロスオーバーSUV「X3」の初代モデル(E83型)は、2003年1月のデトロイト・ショーでデビューを飾り、翌2004年初頭に欧州および北米での販売が開始されました。同社のこのカテゴリーとしては、プレミアムモデルの「X5」に継ぐ第二弾で、Dセグメント乗用車の4代目「3シリーズ」(E46型)をベースに開発されました。
電子制御式フルタイム4WDを採用
5ドアボディのスタイリングは、新デザインのキドニーグリルや「ホフマイスターキック」と呼ばれるリアサイドウィンドウのグラフィックを採用、兄貴分のX5とは一味異なるデザインテイストでまとまられていました。ボディサイズは全長4,565mm×全幅1,853mm×全高1,674mmで、X5よりも一回りコンパクトにまとめられていました。
また、ホイールベースは3シリーズより70mm長く、X5に迫る2,795mmに設定されました。サスペンション形式は、3シリーズやX5と共通のフロント:ダブルジョイント・スプリング・ストラット式/リア:インテグラル・アーム式が採用されました。駆動方式は全車フルタイム4WDで、X5とは異なり「xDrive」と呼ばれる電子制御の前後トルク配分無段階可変式が採用されました。
全車直6エンジン搭載でスタート
エンジンは当初、2.5L直6(最高出力192ps/最大トルク25kgm)および3L直6(最高出力231ps/最大トルク30.6kgm)のガソリンNAと、3L直6ディーゼルターボ(最高出力204ps/最大トルク41.8kgm)の3種類が用意されました。トランスミッションは6速MTが標準で、オプションで5速トルコン式ATが設定されました。
安全装備面では、SRSデュアル&ヘッド&サイドエアバッグシステムや「DSC」(横滑り防止装置)などが標準装備されました。さらにSUVならではの機構として、下り坂でブレーキ操作なしに一定の低速度を維持できる「HDC(ヒル・ディセント・コントロール)」がX5に続いて採用されました。
直4エンジン車を追加
その後2006年にマイナーチェンジが実施され、ガソリン2L直4NAエンジン(最高出力156ps/最大トルク20.4kgm)搭載車が追加されるとともに、ガソリン3L直6エンジンがリニューアルされ、アウトプットが最高出力272ps/最大トルク32.1kgmに向上しました。さらに、3Lディーゼルターボエンジンに最高出力286ps/最大トルク59.2kgmのアウトプットを発生する高出力版が追加されました。
同時に、ATが6速に多段化されました。そして2010年11月にフルモデルチェンジが実施され、現行F25型に移行しました。日本市場においては、2004年7月に2.5Lエンジン搭載の「2.5i」と3Lガソリンエンジン搭載の「3.0i」(いずれも5速AT仕様)が初上陸を果たしました。次いで2006年10月にマイナーチェンジ版への切り替えが行われると同時に、グレード名が「2.5si」および「3.0si」(いずれも6速AT仕様)に変更されました。