BMWのプレミアムクロスオーバーSUV「X5」の初代モデル(E53型)は、2000年にデビューを飾りました。このカテゴリーとしてBMW第一弾であったこのモデルは、「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル」のコンセプトのもとで開発され、50:50の前後重量配分や4輪独立懸架の足回りが備わるなど、オフロード性能のみならずオンロード性能も重視されたことが特徴でした。
エアサスペションを採用
ベースとなったのはアッパーミディアムセダンの4代目「5シリーズ」(E39型)で、5ドアボディのサイズは全長4,667mm×全幅1,872mm×全高1,707mm、ホイールベースは5シリーズより10mm短い2,820mmでした。サスペンション形式は、5シリーズと共通のフロント:ダブルジョイント・スプリング・ストラット式/リア:インテグラル・アーム式で、スプリングは電子制御エア式が採用されました。
駆動方式は、全車フロント38%、リア62%のトルク配分を持つフルタイム4WDでした。エンジンは当初、3L直6(最高出力231ps/最大トルク30.6kgm)および4.4L V8(最高出力286ps/最大トルク44.9kgm)のガソリンNAと、3L直6ディーゼルターボ(最高出力184ps/最大トルク41.8kgm)の3種類が用意されました。
SUVならではの機構を採用
トランスミッションは、3Lガソリン/ディーゼルには6速MTまたは5速トルコン式ATが、4.4Lガソリンには5速トルコン式ATが組み合わせられました。また、ブレーキは全車にフロントがベンチテーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。安全装備面では、「DSC」(横滑り防止装置)や「DBC」(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)などが標準装備されました。
さらにSUVならではの機構として、下り坂でブレーキ操作なしに5~10km/hの速度を維持できる「HDC(ヒル・ディセント・コントロール)」が採用されました。その後、翌2001年に4.6L V8ガソリンNAエンジン(最高出力347ps/最大トルク49kgm)+6速トルコン式AT搭載車が追加されました。
改良により出力が向上
次いで2003年、4.4Lガソリンエンジンの最高出力が320psに、3Lディーゼルエンジンのアウトプットが最高出力218ps/最大トルク51kgmに向上しました。続いて2004年には、4.6Lエンジンが4.8Lエンジン(最高出力360ps/最大トルク50kgm)に置き換えられました。そして2007年にフルモデルチェンジが実施され、2代目E70型に移行しました。
日本市場においては、2000年10月にまず4.4Lエンジン搭載の「4.4i」が上陸を果たし、翌2001年1月に3Lガソリンエンジン搭載の「3.0i」(5速AT仕様)が追加されました。さらに同年10月に4.6Lエンジン搭載の「4.6is」が追加されたものの、2003年10月にカタログ落ちしました。それに代わるモデルとして、2004年11月に4.8Lエンジン搭載の「4.8is」が追加されました。