BMWの小型クロスオーバーSUV「X1」の初代モデル(E84型)は、2009年9月のフランクフルト・ショーでデビューを飾りました。同社のこのカテゴリーとしては「X5」「X3」に続く第三弾で、Dセグメントワゴンの5代目「3シリーズ・ツーリング」(E91型)をベースに開発されました。Xシリーズの末っ子ながらキャラクターは兄貴分とは異なり、よりスポーティな味付けが施されていました。
低い全高とFR車の設定が特徴
5ドアボディのスタイリングは、クロスオーバーSUVとしては低く抑えられた全高や長いノーズが特徴で、X5/X3よりもスポーティな雰囲気を醸していました。同時に、Cd値0.32の優れた空力特性を実現したことも特徴でした。ボディサイズは全長4,457mm×全幅1,789mm×全高1,535mmとX3よりも一回り小振りで、特に全高は約140mmも低く設定されていました。
ホイールベースは3シリーズと同一の2,760mmで、サスペンション形式もそれと共通のフロント:ダブルジョイント・スプリング・ストラット式/リア:5リンク式が採用されました。駆動方式は「xDrive」と呼ばれる電子制御式フルタイム4WDのほか、「sDrive」と呼ばれるXシリーズ初の2WD(FR)が設定されました。
エンジンは当初、3L直6ガソリンNA(最高出力258ps/最大トルク30.6kgm)と、2種類の2L直4ディーゼルターボ(最高出力177ps/最大トルク35.7kgmおよび最高出力204ps/最大トルク40.8kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、6速MTまたはステップトロニック付き6速トルコン式ATでした。
また、燃費・環境性能対策として、ブレーキエネルギー回生システムの「マイクロ・ハイブリッド」が設定されました。さらに安全性能・走行性能向上に係る機構として、「DSC」(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)や「CBC」(コーナーリング・ブレーキ・コントロール)などが標準装備されました。
M/Cでアイドリングストップ機構を採用
その後翌2010年に、2L直4ガソリンNAエンジン(最高出力150ps/最大トルク20.4kgm)と、3L直6ガソリンNAエンジンのデチューン版(最高出力218ps/最大トルク28.6kgm)が追加されました。さらに2011年には、3L直6ガソリンエンジンに代わり2種類の2L直4ガソリンターボエンジン(最高出力184ps/最大トルク27.5kgmおよび最高出力245ps/最大トルク35.7kgm)が設定されました。
次いで2012年のマイナーチェンジでフロントまわりなどの意匠変更が変更されるともに、一部グレードを除きアイドリングストップ機構が採用され、燃費が向上しました。そして2015年6月にフルモデルチェンジが実施され、現行F48型に移行しました。日本市場においては、2010年4月にまず2LガソリンNAエンジン搭載FR方式の「sDvive 18i」と、3Lエンジン搭載4WD方式の「xDvive 25i」が導入されました。
次いで2011年10月にラインナップが見直され、「xDvive 25i」に代わり2Lガソリンターボエンジン搭載フルタイム4WD方式の「xDvive 20i」「xDvive 28i」が設定されました。続いて2012年9月、マイナーチェンジ版への切り替えが実施されるとともに、2Lガソリンターボエンジン搭載FR方式の「sDvive 20i」が追加されました。