BMW最小のクロスオーバーSUVとして2009年にデビューした「X1」は、2015年6月のフルモデルチェンジにより2代目となり、日本では10月から販売が開始されました。同社伝統のFR方式ベースだった先代に対し、「2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー」と同様のFF方式ベースに変更された事により、居住性が改善されました。又、同社最新の安全運転支援システムが採用されました。
室内空間を拡大
スタイリングは、Xラインを描くフロントエプロンなど従来のイメージを踏襲しながらも、空力特性を改善しCd値を先代の0.32から0.29としました。ボディサイズは全長4,455mm×全幅1,820mm×全高1,600~1,610mm、ホイールベースは2シリーズアクティブツアラーと同一の2,670mmで、先代から全長が30mm、ホイールベースが90mm縮小された一方、全幅が20mm、全高が25~35mm拡大されました。
室内面では、後席のニールームやラゲッジスペースが拡大された他、前後席共に着座位置が高められ視界や乗降性が向上しました。更に3分割可倒式リアシートの採用などにより、スペースユーティリティーも改善されました。サスペンション形式は、フロントが先代同様のストラット式で、リアは5リンク式からマルチリンク式に変更されました。
1.5L直3エンジンを新設定
エンジンは、欧州仕様には2L直4のディーゼルターボも用意されるものの、日本仕様は先代同様ガソリンユニットのみの設定となります。「sDrive18i」シリーズ用として先代に採用されていた2L直4NAユニットは廃止され、代わって2シリーズや「ミニ」などにも搭載される1.5L直3ターボ(最高出力136ps/最大トルク22.4kgm)が採用されました。
又、「sDrive20i」シリーズには最高出力192ps/最大トルク28.6kgmの、「sDrive28i」改め「sDrive25i」シリーズには最高出力231ps/最大トルク35.7kgmの2L直4ターボユニットが搭載されます。トランスミッションは1.5L車が6速、2L車が8速のトルコン式ATで、駆動方式は前者がFF、後者は通常FFで走行し状況に応じ後輪に動力を分配するオンデマンド式フルタイム4WDとなります。
衝突被害軽減ブレーキを全車に装備
グレード体系は、ベースグレードの他に上級グレードの「Xライン」と、スポーティーな内外装や専用の足回りが備わる「Mスポーツ」がラインナップされます。装備面では、衝突被害軽減ブレーキの「ドライビングアシスト」や車線逸脱警告システムの「レーンディパーチャーウォーニオング」、「リアビューカメラ&パークディスタンスコントロール」などの安全装備が全車に標準装備されます。
その他、「iDriveナビゲーションシステム」やLEDヘッドランプが全車に与えられる他、前車追従型クルーズコントロールの「アクティブクルーズコントロール」や様々な情報をスクリーン上に表示するヘッドアップディスプレイがオプションで用意されます。
初代BMW X1 (E84 ’09-’15)
日本市場も意識したBMW最小のクロスオーバーSUV
BMWのコンパクト・クロスオーバーSUV「X1」は、2009年9月のフランクフルトモーターショーで発表され、2010年4月から日本での販売が開始されました。E91型「3シリーズツーリング」をベースに開発されたXシリーズ最小のモデルで、開発の段階から日本市場での使い勝手に配慮し、全幅・全高を立体駐車場に収まるサイズに抑えた事が特徴となっています。
空力特性の優れたボディ
ボディサイズは全長4,470mm×全幅1,800mm×全高1,545mmで、兄貴分の「X3」よりも一回り小さく、ホイールベースはプラットフォームを共用する5代目3シリーズと同一の2,760mmとなっています。スタイリングはXシリーズに共通する都会的なセンスを持つ他、SUVとしては低く抑えられた全高などによりCd値0.32の良好な空力特性が備わります。
車両重量は1,560~1,710kgで、サスペンション形式は5代目3シリーズ同様の前:ストラット式/後:5リンク式を踏襲します。発売当初国内仕様に設定されたパワートレイン及びグレードは、2L直4NAエンジン(最高出力150ps/最大トルク20.4kgm)+6速トルコン式ATを搭載するFRモデル「sDrive 18i」と、3L直6NAエンジン(最高出力218ps/最大トルク28.6kgm)+6速トルコン式ATを搭載する4WDモデル「xDrive 25i」の2種類でした。
新エンジンや新グレードを追加
「sDrive 18i」はXシリーズとして初の2輪駆動モデルとなる他、「xDrive 25i」には減速エネルギー回生システムの「マイクロハイブリッド」が搭載されました。そして2011年11月に、新世代の2L直4ターボエンジンと8速トルコン式ATを搭載する新グレード「xDrive 20i」(最高出力184ps/最大トルク27.5kgm)及び「xDrive 28i」(最高出力245ps/最大トルク35.7kgm)が追加され、「xDrive 25i」は廃止されました。
次いで2012年9月にマイナーチェンジを実施し、エクステリアデザインの変更によりイメージを刷新しました。同時に、「xDrive 20i」「xDrive 28i」にアイドリングストップ機構が装備され燃費が向上した他、「xDrive 20i」のFRバージョン「sDrive 20i」が追加されました。又、全グレードに「xLine」「Sport」「M Sport」のサブネームが付く新グレードが設定されました。
続いて2013年4月に、それまでFR車のみに装備されていた車速感応型ステアリング「サーボトロニック」が4WD車にも採用されました。次いで2015年4月に、価格据え置きのまま従来オプション扱いであったHDDナビゲーションシステムを主幹とする「iDriveナビゲーションパッケージ」と、駐車をアシストする「パーキングサポートパッケージ」が全車に標準装備されました。
そして2015年6月、これまでのFRベースからFFベースに切り替えられた2代目X1が欧州で発表されました。欧州仕様のボディサイズは全長4,439mm×全幅1,821mm×全高1,612mmで、日本の立体駐車場への入庫が不可能なサイズになりました。