シトロエンのフラッグシップセダン/ワゴン「XM」は、「CX」の後継モデルとして1989年5月にデビューしました。ボディの骨格がペリメーターフレーム式だったCXに対しモノコック式に変更された他、独自のハイドロ・ニューマチック・サスペンションを電子制御式に進化させた「ハイドラクティブ・サスペンション」が設定された事が大きな特徴となりました。
BXに続きベルトーネ・デザインを採用
ボディのデザインは、弟分の「BX」に続いてカロッツェリア・ベルトーネに委託されました。同じく直線を基調としたシャープなボディラインを備えており、曲線的なボディだったCXから大きくイメージを変えました。ボディタイプはまず6ライトウィンドウとテールゲートを持つ5ドアセダンが登場し、2年後の1991年にステーションワゴンの「ブレーク」が追加されました。
ボディサイズは、セダンが全長4,710mm×全幅1,795mm×全高1,395mmでCXよりも一回り拡大され、ホイールベースも僅かに延長され2,850mmとなりました。一方ブレイクは、セダンから更に全長が255mm、全高が70mm拡大されました。サスペンション形式は、フロントがCXのダブルウィッシュボーン式からストラット式に変更され、リアはトレーリングアーム式が踏襲されました。
前述のハイドラクティブ・サスペンションは、車両の置かれている状況に応じ自動的に減衰力を2段階に切り替える方式で、上級グレードに標準装備され、それ以外にはオプションで用意されました。又、セルフセンターリング機能を備える独特のパワーステアリングや4輪ディスク式のブレーキは、CX同様ハイドローリック・システムによる油圧制御式でした。
CXからエンジンを一新
駆動方式はFFを踏襲する一方、エンジンはCXの旧式な直4OHVに代わり、SOHC化された新ユニットが採用されました。発売当初用意されたのは、ガソリンが2L直4キャブレター仕様(最高出力115hp)、同燃料噴射仕様(最高出力130hp)、3L V6(最高出力170hp)の3種類、ディーゼルが2.1L NA(最高出力83hp)、同ターボ(最高出力110hp)の2種類で、トランスミッションは5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
そして翌年に3L V6 24バルブ仕様ガソリンエンジン(最高出力200hp)が、1992年に2L直4ガソリンターボエンジン(最高出力145hp)が追加されました。そして1994年にマイナーチェンジが行われ、インパネのデザインが一新された他、エクステリアも一部変更されました。同時に、ABSやデュアル&サイドSRSエアバッグシステムが標準装備されました。
日本には1990年10月に、まず3Lエンジン+ATを搭載するセダンの標準グレード及び上級グレード「M」が導入され、1992年12月に同じエンジンを搭載する「ブレーク」が、更に1993年2月にセダンの廉価グレード「S」が追加されました。そしてマイナーチェンジ版は1994年10月から導入が開始され、セダンは「エクスクルーシブ」のモノグレードとなりました。
そして2000年にニューモデル「C5」が発表された事に伴い、生産終了となりました。