クライスラー(現フィアット・クライスラー)は1994年、ダッジ・ブランドより新型スペシャリティ・クーペ「アべンジャー」を発売しました。プラットフォームは、当時提携関係にあった三菱自動車工業の乗用車「ギャラン」やスポーティカー「エクリプス」などと共通の「クライスラー・FJプラットフォーム」が採用され、生産は両社による合弁会社「ダイヤモンド・スター・モーターズ」で行われました。
エンジンは直4とV6の2種類
ボディタイプは、テールゲートを持たない2+2仕様の2ドアクーペのみのラインナップで、エクリプスと異なりコンバーチブルの設定はありませんでした。エクステリア・デザインは、エクリプスに似た曲線基調のフォルムを備えていました。ボディ・ディメンションは全長4,755mm×全幅1,740mm×全高1,346mm、ホイールベース2,634mmで、エクリプスよりも一回り大きいものでした。
駆動方式はエクリプス同様のFFで、エンジンはクライスラー製の2L直4DOHC(最高出力142ps/最大トルク17.9kgm)が標準となるほか、オプションで三菱製の2.5L V6SOHC(最高出力157ps/最大トルク22.2kgm)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、前者は5速MTまたは4速トルコン式AT、後者は4速トルコン式ATでした。
2.5Lエンジンを選んだ場合のパフォーマンスは、最高速度201km/h・0-60mph加速9.3sでした。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、ステアリング形式は可変ギアレシオのラック&ピニオン式が採用されました。また、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型、リアがソリッド型の4輪ディスク式が装備されました。
ホール&タイヤは、5.5J×14インチホイール+195/70HR14タイヤの組み合わせが装着されました。グレード体系は標準グレード「ハイライン」と上級グレード「ES」の2タイプで、装備面ではABSやフォグランプがオプション設定されていました。その後、1996年に2.5L V6エンジンのアウトプットが最高出力165ps/最大トルク23.5kgmに向上しました。
「スポーツパッケージ」を追加
次いで1997年にフェイスリフトが実施され、フロントまわりやリアまわりの意匠が変更されるとともに、ホイールサイズが16インチに拡大されました。同時に、専用16インチアルミホイールやリアスポイラーが装備される「スポーツパッケージ」が追加されたほか、ESは17インチホイールやリアスポイラーが選択できるようになりました。
続いて1999年、新世代のSRSデュアルエアバッグシステムが標準化されました。追って翌2000年には2.5L V6エンジンが標準になると同時に、装備の充実化が図られました。そしてこの年をもって生産を終了、後継モデルの2代目「ダッジ・ストラトス」にバトンが渡されました。