日産は1986年2月、前年に登場した6代目「サニー」(B12型)をベースとした3ドアハッチバッククーペ「サニーRZ-1」を発売しました。直線を基調としたシャープな造形のスタイリングが特徴で、高性能バージョンも設定されました。海外にも輸出されたものの、同一車名を踏襲する後継モデルは販売されず、サニーRZ-1という名称は1代限りで消滅しました(その後、実質的な後継モデルは「NXクーペ」として販売されました)。
ウェッジシェイプが特徴
スタイリングは、スラントした低いノーズの採用などによりウェッジシェイプが強調されると共に、ラップラウンドリアウィンドウを採用するなど、サニーセダンとは全く異なる個性的なプロポーションが特徴でした。ボディサイズは全長4,230mm×全幅1,665mm×全高1,335mmで、サニーセダンよりも75mm長く25mm広く、そして50mm低いディメンションでした。
ホイールベースは同一の2,430mmで、車両重量は940~1,090kgでした。サスペンション形式はサニーセダンと同一の4輪ストラット式を踏襲し、駆動方式はFFのみの設定でした。発売当初用意されたエンジンは、1.5L SOHC NAのE15S型(最高出力73ps/最大トルク11.8kgm)、同ターボのE15T型(最高出力100ps/最大トルク16kgm)、1.6L DOHC NAのCA16DE型(最高出力120ps/最大トルク14kgm)の3種類でした。
NISMOバージョンも設定
トランスミッションはNA車が5速MT及び3速トルコン式AT、ターボ車が5速MT及び4速トルコン式ATで、ブレーキは1.5L NA車のみフロント:ディスク式/リア:ドラム式となり、それ以外はフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式でした。グレード体系は、それぞれに標準グレード「タイプA」と上級グレード「タイプB」が設定された他、1.6L車にはスポーティグレード「NISMO」が設定されました。
装備面では、「タイプB」にはマルチアジャスタブルスポーツシートやパワーウィンドウ、AM/FM電子チューナーラジオが、「NISMO」にはエアロパーツや専用サスペンションなどが備わりました。そして1987年11月にマイナーチェンジを実施し、リアコンビネーションランプの意匠などが変更されると共に、1.5L NA車のエンジンがDOHCのGA15S型(最高出力85ps/最大トルク12.5kgm)に置換されました。
同時に、1.5Lターボ車はカタログ落ちしました。次いで翌1988年6月にオプション装備の充実が図られ、フロントビスカスLSDなどが用意されました。続いて1989年1月に誤操作防止機能としてシフトロックシステムが採用され、追って同年6月には「タイプB」をベースに装備を充実させた新グレード「タイプJ」が追加されました。
そして同年12月、ベースモデルであるサニーセダンの世代交代に伴い生産終了となりました。前述のように同名の後継車種は販売されなかったものの、翌1990年1月に7代目サニーと共に発売された「NXクーペ」が実質的な後継モデルとなりました。