1968年に「Sタイプ」「420」「240/340」に代わるモデルとして誕生したジャガーのFR4ドアサルーン「XJ」は、1979年に2度目のマイナーチェンジを受けシリーズⅢとなりました。カロッツェリア・ピンファリーナが関わったとされるエクステリア・デザインの変更により、欠点だった後席のヘッドルームが拡大されました。
エクステリアに様々なモディファイ
ボディタイプは、シリーズⅡの末期に廃止されたクーペの復活はなく、4ドアセダンのみのラインナップでした。シリーズⅡに対してのエクステリア面の変更点は、ルーフ後端部の嵩上げやドアウィンドウサイズの見直し、安全性向上策としてのドアノブ形状の変更、フロントグリルや前後バンパーの意匠変更、リアコンビネーションランプの拡大などでした。
ボディサイズは全長4,960mm×全幅1,770mm×全高1,370mmで実質的にシリーズⅡと同等、2,870mmのホイールベースにも変更はありませんでした。又、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:ロワウィッシュボーン+ラディアスアーム式のサスペンション形式や、フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスクブレーキなども従来と同様でした。
搭載エンジン及びグレード体系は、従来同様3.4L直6DOHC (最高出力163ps)の「XJ6 3.4」、4.2L直6DOHC(最高出力208ps)の「XJ6」、5.3L V12SOHC(最高出力289ps) の「XJ12」の3タイプがラインナップされました。混合気の供給は、3.4Lは従来通りSUツインキャブレターにより、5.3Lも同様にルーカス燃料噴射装置により行われました。
MT仕様は5速に
一方4.2Lは、シリーズⅡでは欧州仕様がSUツインキャブレター仕様、北米仕様がルーカス燃料噴射仕様であったのに対し、全地域において後者に統一されました。トランスミッションは、5速化されたMTと従来同様の3速トルコン式ATが設定されました。一方インテリアは、伝統のウォールナット仕上げのインパネを踏襲しつつ、メーターとスイッチのレイアウトが変更されました。
その後1981年に、5.3L V12エンジンに「ファイアボール」と名付けられた高効率ヘッドが採用され最高出力が299psに向上、同時にグレード名が「XJ12 H.E」に変更されました。又、これをベースに更に上質なインテリアが備わる最上級グレード「XJ12ヴァンデン・プラスH.E」が設定されました。次いで1982年末、インテリアの変更を伴う小規模なマイナーチェンジが実施されました。
そして1986年9月、後継モデル「XJ40」系の登場に伴いXJ6は生産終了となりました。一方、XJ40系はそのままではV12エンジンの搭載が不可能な設計であった為、XJ12は1992年まで生産が継続されました。