あれは私がマイカーというものを持って2年目の冬。同級生に車好きの人がいました。その彼の乗る車は今でいう「走り屋」的車で、当時あまり興味がありませんでした。ある夜、彼の車に同乗し、峠なるものを全力アタックしてもらいました。
安くてスピードの出る車はないか
あの時は今でも忘れません。驚きの連続です。乗用車がこんなにも速く走れるものか、こんなスピードでカーブが曲がれるものなのか!と…。あれ以来、私自身もかなりのめり込むようになりました。
早速、知り合いのクルマ屋に安くてスピードの出る車はないかと話を持って行きました。しばらくして私の手元にランエボが来ました。以前から話題になっていたランサーエボリューション。その時は既に「4」が出ており、もちろん新車など買えるはずもなく、とにかくランエボというネームバリューに押され、二つ返事で購入しました。値段は破格の60万円。納車の前の日は嬉しくて寝れませんでした。
三菱 ランサー エボリューションⅠ 型式:E-CD9A
真っ赤なボディのGSRは本当に最高でした。ローアングルのレカロシートに包まれ、やる気を起こさせるノイズ。乗ってみて本当にドキドキする車でした。動かしてみればそれは本当に味わったことのない加速感。20歳そこらの若造が乗るには少し早かった感じはしますが、当時は有頂天になっておりました。
スピードの出しすぎで切符を切られたり、事故もありました。とあるダム付近の右のヘアピンカーブでどアンダー。突っ込みすぎて曲がれずガードレールに激突。このランエボⅠはカーブが弱かったそうです。いや、乗って3カ月もしないで仲間と走りに行くこと自体が無謀でした。
半年間の修理の末戻っては来たものの、ボンネットはただのランサーのボンネットで、しかもエンジンが干渉する為加工しないと閉まらない始末。修理ついでにランエボⅠの顔でなくⅢの顔を採用し、インタークーラーはHKSに変更。見てくれはランエボⅢになりました。(前のほうだけ)ステッカーなどを貼りオンリーワンとしてとても気に入っていました。
5人乗れてしかも速い
無茶な注文にイヤな顔せず対応してくれた中古屋ショップは本当に有り難かったです。半年も修理に掛かったのがちょっと残念ではありますが…。
この車の一番の良い所は、5人乗れてしかも速いというところです。スポーツカーというものは後部座席が狭く乗れたものではありません。しかし、セダンタイプのスポーツカーとしてそのポジションを確立しているこの車はとても実用的であり、刺激的でした。
今でも乗っております、と言いたいところですが、修理から戻ってきた約1年後、再び事故をしてしまい、あえなく廃車となってしまいました。
廃車にはなりましたが、未だに私の心には深く刻まれております。今は子供がいる為ショックの柔らかいセダンに乗っておりますが、またこのようなタイプの車に乗る機会があったら、ランエボを絶対選択肢に入れたいと思います。