フォード・モーターは1980年にリンカーン・ブランドより、「コンチネンタル・マークⅤ」の後継モデルとなる新型フルサイズセダン、「タウンカー」を発売しました。プラットフォームを新世代の「フォード・パンサープラットフォーム」に刷新、乗り心地や操縦安定性の向上、最小回転半径の縮小などが図られました。また、燃費改善策としてエンジンがダウンサイジングされたことも特徴でした。
ボディもダウンサイジング
ボディ・バリエーションはコンチネンタルから一新され、当初2ドアセダンと4ドアセダンのラインナップとなりました。エクステリア・デザインは、それまでよりもボクシーなフォルムに変貌するとともにヘッドランプがコンシールド式から固定式に変更されるなど、コンサバティブなイメージを強めたものとなりました。
ボディサイズは全長5,565mm×全幅1,984mm×全高1,430mmで、コンチネンタルから全長が300mm以上短縮されました。同時にホイールベースも大幅に短縮され、2,979mmとなりました。こうしたディメンションの縮小にともない、車両重量は300kgほど軽い1,817kgとなりました。サスペンション形式は、フロントにウィッシュボーン/コイル式、リアにリジッド・アクスル/コイル式が採用されました。
エンジンは4.9L V8を採用
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはそれまでの6.6L V8および7.5L V8に代わり、4.9L V8OHV電子燃料噴射仕様の「ウィンザー」(最高出力132ps/最大トルク31.6kgm)が採用されました。トランスミッションはOD付3速トルコン式ATとの組み合わせで、最高速度は165km/hでした。また、ステアリング形式はロック・トゥ・ロック3.4回転のリサーキュレーティング・ボール式が採用されました。
ブレーキは前後ともベンチレーテッド・ディスク式が奢られ、タイヤはP205/75R15サイズが装着されました。当初のグレード体系は、ベースグレードと上級グレード「シグネチャー・シリーズ」のラインナップで、後者には前席6ウェイパワーシートが標準装備されました。その後1982年に、4.9Lエンジンのアウトプットが最高出力136ps/最大トルク33.9kgmに向上しました。
さらにこの年、専用のボディカラーと内装が与えられる特別仕様車「カルティエ・デザイナー・エディション」が設定されました。追って1983年にもエンジンの性能向上が図られ、アウトプットは最高出力142ps/最大トルク34.7kgmまで向上しました。次いで1985年にフェイスリフトを実施、エクステリア面ではフロントまわりとリアまわりの意匠が刷新されたほか、インテリアにも変更が施されました。
続いて1988年にフロントグリルとインパネの意匠が変更されたのち、翌1989年のフルモデルチェンジにより2代目モデルに移行しました。